民法(相続法)・17の改正項目を詳細解説

配偶者居住権や自筆証書遺言の保管制度など
民法(相続法)の改正項目を解説

Menu

  1. 改正の目的
  2. 施行日
  3. 民法(相続法)の改正項目

1.改正の目的

 相続法は、昭和55年以来、実質的に大きな見直しは行われていません。昨今、高齢化社会の進展や家族の在り方に関して国民意識の変化等の社会情勢を踏まえて、配偶者の死亡により、残された他方配偶者の生活への配慮等の観点から、相続に関する規律を見直す必要性が高まっていました。特に、平成25年9月4日に最高裁大法廷違憲決定(嫡出でない子の法定相続分)に伴い、同年12月に民法の一部改正が施行されたことをきっかけに、法律婚配偶者の生活保障の確保を目的に、相続法改正の議論はスタートしました。
 平成27年4月から平成30年1月までの間に、合計26回の法制審議会の部会が開催されるなか、配偶者の生活保障以外の論点についても、取り上げられることとなり、当初に考えられていたよりも多岐にわたる改正項目を含むものになったといえます。

相続法の改正の4つの目的
  1. 配偶者の生活保障
  2. 遺言の利用の促進
  3. 相続の公平の実現
  4. 相続によって生じる権利義務の明確

2.施行日

 民法(相続法)改正に関する法律の施行日は、原則として令和元年7月1日に施行されることとなっています。
 ただし遺言書の方式緩和(以下の改正項目「3(1)」)については、平成31年1月13日から、配偶者居住権(改正項目「1(2)」)は令和2年4月1日から、遺言書の保管(改正項目「3(2)」)は令和2年7月10日から施行されることとなっています。

3.民法(相続法)の改正項目

  1. 配偶者の居住権を保護するための方策
    1. 配偶者短期居住権
    2. 配偶者居住権
  2. 遺産分割に関する見直し等
    1. 遺産分割における配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定)
    2. 遺産分割前の預貯金の払戻しの仮払い制度の創設
    3. 遺産の一部分割
    4. 遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲
  3. 遺言制度に関する見直し
    1. 自筆証書遺言の方式緩和
    2. 自筆証書遺言にかかる遺言書の保管制度
    3. 遺贈の担保責任
    4. 遺言執行者の権限の明確化と行為の効果
  4. 遺留分制度に関する見直し
    1. 遺留分減殺請求権の効力及び法的性質の見直し(金銭債権化)
    2. 遺留分の算定方法の見直し
    3. 遺留分侵害額の算定における債務の取扱い
  5. 相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し
    1. 共同相続における権利の承継(法定相続分超過部分の取得に対抗要件主義導入)
    2. 遺言執行者がある場合の相続人の行為の効果(善意の第三者に対抗できない無効)
    3. 相続分の指定がある場合の債権者の権利行使
  6. 相続人以外の貢献を考慮するための方策(相続人以外の親族の特別寄与料)
関連情報

TOPへ戻る

コンタクトフォームへのリンク