相続登記の申請書の書き方
(遺産分割協議による相続登記)
遺産分割協議とは、相続人全員が話し合いで相続不動産の取得する者を決定するものです。そこで相続登記申請では、その話し合いの結果を書面にした遺産分割協議書と相続人自身が実印を押印したことを証するものとしての印鑑証明書を申請書と一緒に添付して提出するのが特徴です。
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遺産分割協議による相続登記の申請書の書き方
不動産登記の申請方法
不動産登記申請には、申請書類を作成して、法務局の窓口に直接提出する方法と郵送で送付する方法、インターネットを利用したオンライン申請する方法があります。オンライン申請は、PC上でデータを入力して申請しますので、申請書類を作成することはありません。ここでは、法務局の窓口に直接提出するための申請書類の書き方についてご紹介します。
事案
被相続人である甲山太郎が平成29年2月1日死亡しました。甲山太郎には、配偶者の甲山花子、長男の甲山一男、長女の乙山月子の3名の相続人がいました。平成29年4月30日に甲山花子と乙山月子が2分の1ずつ相続不動産を取得するとする遺産分割協議が成立しました。
登記申請書
登記の目的
- 被相続人が単独で不動産を所有していた場合には、「所有権移転」と記載します。
- 共有で不動産の持分を所有していた場合には、「甲山太郎(被相続人の氏名)持分全部移転」と書きます。
登記の原因
- 被相続人の死亡した日に相続が開始しましたので、甲山太郎の死亡日(戸籍上の死亡日)「平成29年2月1日相続」と記載します。
- 遺産分割協議によって相続することが決まったのですが「平成29年4月30日遺産分割」とは書きません。
相続人
- 被相続人の氏名も記載します。
- 相続不動産を取得する者の住所と氏名を記載します。住民票の写しに記載しているとおりに正確に記載する必要があります。なお、相続不動産を共有する場合には、遺産分割協議書に記載されている、それぞれの持分を記入してください。
- 申請人は押印(認印でも可)してください。
- 申請書の記載内容等に間違い等がある場合には、法務局の担当者から連絡する場合がありますので、平日日中に連絡が受けられる連絡先を記載します。(携帯電話の番号でも可)
添付書類
- 登記原因証明情報とは、被相続人の戸(除)籍謄本と遺産分割協議書、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書等のことです。
- 住所証明書とは、住民票の写しのことで、相続不動産を取得する相続人全員のものが必要になります。マイナンバー(個人番号)が記載されていないものを用意してください。
申請日及び法務局
- 法務局へ提出する日付を記入してください。郵送で送付する場合は発送する日を記入してください。
- 不動産が所在する地域を管轄する法務局に申請しますので、法務局のHPで事前に確認してください。
課税価格
- 固定資産税評価証明書に記載されている価格を記載することになります。1000円未満の端数は切り捨てになります。
登録免許税
- 相続を原因とする所有権移転の場合の税率は0.4%(1000分の4)となります。課税価格に税率である0.4%を乗じます。計算した金額に100円未満の端数がある場合には、切り捨てになります。
- 登録免許税は収入印紙で納付することが多いです。
不動産の表示
- 登記の申請をする不動産を、登記記録(登記事項証明書)に記録されているとおりに正確に記載してください。
様式
- A4用紙で作成してください。手書きで書いても大丈夫です。
- 申請書が複数枚にわたる場合には、各用紙のつづり目に必ず契印をしてください。申請者が2人以上いる場合でも、1人が契印することで足ります。
- 申請書に1ページ追加して、収入印紙を貼付します。(割印や消印はしないでください。)
遺産分割協議書
遺産分割協議書
- 遺産分割協議の内容については、相続人間の協議の結果に応じて作成してください。
- 遺産分割協議に記載する財産の内容は、不動産登記申請のためだけに使用するのであれば、遺産分割の対象となる不動産だけを記載しますし、預貯金等のその他の財産についてもまとめて記載することもできます。
- 預貯金等の解約のために遺産分割協議書を利用するのでれば、協議書の原本還付請求を行う必要があります。
相続人
- 遺産分割協議は相続人全員で行う必要がありますので、相続人全員が住所・氏名を記入し、実印で押印します(ただし、相続放棄等の理由で相続人でなくなった場合を除きます。)。
- 住所・氏名は印鑑証明書に記載されているとおり正確に記載してください。
- 遺産分割協議に印鑑証明書を添付する必要があります(有効期限の定めはありません。)。
不動産の表示
- 登記の申請をする不動産を、登記記録(登記事項証明書)に記録されているとおりに正確に記載してください。
関連情報
- 被相続人が遺言書を残していた場合には、遺言に基づく相続登記申請をすることになります。
- 遺産分割協議が合意に至らなかった場合や協議を行わなかったような場合には、法定相続分で相続人が相続不動産を共有したとする相続登記申請をすることになります。
相続関係説明図
- 相続関係説明図を提出した場合、登記原因証明情報として提出した被相続人の「戸(除)籍謄本」や相続人の「戸籍謄本」等を、登記手続完了後に原本還付をして返却してもらうことができます。
- 被相続人が離婚や再婚等している場合、婚外子がいる場合も含めて、すべての相続関係を記載する必要があります。
- 長男「甲山一男」の上にある「(分割)」とは、一男が遺産分割協議の結果、相続不動産を取得しなかったということを意味します。
<POINT>
- 遺産分割協議は相続人全員でしなかった場合には無効です。
- 登記申請書には遺産分割協議書と印鑑証明書を一緒に添付して提出します。
- 相続関係説明図を提出した場合、戸籍謄本等の書類を登記が完了した後に、返却してもらえます。
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