不動産登記

相続手続 遺産調査と分割、名義変更、税務手続編

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遺産のうち相続税の課税の対象となる正味の遺産額

大事な人が亡くなった、「相続手続き」どんなことを、いつまでにすればいいの?
税務・遺産分割・相続手続き編
 ~遺言、相続放棄、遺産分割、相続税の申告~

家族の一員が亡くなり、悲しんでいるにもかかわらず、残された親族は葬儀やお墓についてなど相続手続きについて、どうするかなどいろいろとやることが多くあります。

大事な人が亡くなってから、役所や税務署など対して行う「行政上・税務上の手続き」と金融機関や裁判所、法務局などに対して行う「法律上・財産上の手続き」を中心に、いつまでにどのようなことをする必要があるのか、説明いたします。

税務・遺産分割・相続手続とは?

今回の税務・遺産手続き編では、亡くなった方に、現金や不動産などの資産や借金などの負債などがあった場合に、遺産(資産と負債の両方)を相続(承継)するにはどのような手続きが必要なのか取り上げます。

遺産相続(承継)手続きには、亡くなった方が残した遺産をどのように相続人が承継するのか決める遺産分割手続きや遺言の検認から相続放棄などの手続きがあります。また遺産相続には相続税などの税務上の手続きが同時に必要になりますので、今回一緒にご説明します。

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  1. 遺産を分割・放棄するまでの流れ
    1. 相続人の確認
    2. 遺言書の有無の確認
    3. 遺産(資産と負債)の確認
    4. 遺産の確認方法
    5. 遺産の評価
    6. 遺産の分け方と放棄の方法
  2. 相続財産の名義変更手続き
    1. 不動産の名義変更
    2. 預金の名義変更
    3. 上場株式の名義変更
    4. 自動車の名義変更
    5. ゴルフ会員権の名義変更
  3. 所得税や相続税などの税務上の手続き
    1. 所得税準確定申告と納税
    2. 相続税申告と納税

01.遺産を分割・放棄するまでの流れ

亡くなられた方に、預金や不動産などの資産があるとき、または借入などの負債があるときにどのような流れで、それらの遺産を承継又は放棄するのか手続きを行う必要があるのか説明いたします。

その前に、これから説明するうえで事前ご理解していただいた方がよい、用語の意味をご紹介します。「被相続人」とは亡くなった方のことで、「相続人」とは亡くなった方の遺産を引き継ぐ人のことです。そして亡くなった方の子どもや配偶者などの法律上財産を引き継ぐ権利を認められている相続人のことを「法定相続人」といいます。

001.相続人の確認

誰に財産を引き継ぐ権利が認められているのか、つまり誰が法定相続人となるのかは民法で定められています。そして相続人について確認するために、戸籍謄本を取集することが必要になります。誰が法定相続人なのかを調べるには、「相続手続 知っておきたい相続人の範囲に関する9つのポイント」をご覧ください。

  • 必要なもの
    被相続人の(亡くなった方)生まれてから死亡するまでの戸(除)籍謄本
    相続人(配偶者や子など)の戸籍謄本
  • 届出・相談窓口
    被相続人及び相続人の本籍地の市区町村の戸籍担当窓口
  • その他
    被相続人の戸(除)籍謄本は、原則として出生時から死亡時まで連続して必要です。被相続人の本籍地は数度移転していることも多いため、複数の窓口での請求が必要になるとともに、法律上戸籍の書式が変更されるなどして、4~5通の戸(除)籍謄本を収集する必要があることも少なくありません。

002.遺言書の有無の確認

被相続人は(亡くなった方)遺言を残すことで、自分の遺産について誰にどのように相続するか定めることができます。そして遺言にはいくつか種類があるのですが、よく利用されているのは自筆証書遺言と公正証書遺言であり、それぞれ確認の方法などの手続きが異なります。

  • 自筆証書遺言

    自筆証書遺言とは、被相続人が自筆で遺言を書き、署名押印する方式の遺言書であり、遺言書の保管は被相続人自らすることになっています。

    • 確認窓口
      被相続人が保管していますので、被相続人の方の机やタンスなどを探してください。あえて見つからないよう隠している場合も少なくありません。銀行の貸金庫に保管してある場合もあります。
    • 裁判所による検認手続
      自筆証書遺言に従って遺産相続するには、遺言の形状や内容を裁判所で確認する「検認」という手続きを行う必要があります。そして封がしてある自筆証書遺言を見つけたとしても、勝手に開封してはいけません。開封には裁判所での検認の手続きをする必要があります。
      • 申立人
        遺言書を保管している人
        遺言書を発見した相続人
      • 検認手続きの窓口
        亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所(管轄裁判所を調べるには裁判所ホームページ
      • 必要なもの
        開封・閲覧していない遺言書の原本
        被相続人の(亡くなった方)生まれてから死亡するまでの戸(除)籍謄本
        相続人(配偶者や子など)の戸籍謄本
  • 公正証書遺言

    公正証書遺言とは、被相続人である遺言者が公証役場で、遺言の内容を公証人に伝え、その内容を公証人が遺言書としてまとめます。作成した遺言書は公証役場で保管することになります。

    • 相談・確認窓口
      遺言書は公証役場に保管してありますので、最寄の公証役場で確認をとることができます。公証役場所在地一覧(日本公証人連合会ホームページ)
    • 申立人
      相続人
      その他利害関係人
    • 必要なもの
      被相続人の(亡くなった方)戸(除)籍謄本
      相続人(配偶者や子など)の戸籍謄本又は利害関係を証明できる書面
      申立人の身分証明書(運転免許証等写真入りの公的機関発行のもの)
    • その他
      公正証書遺言は裁判所による検認の手続きが不要です。

003.遺産(資産と負債)の確認

遺産のなかで相続の対象となる財産のことを相続財産といいます。そして相続財産にはプラスの財産である資産とマイナスの財産である負債の両方を含みます。遺産相続ではプラス財産とマイナス財産の両方を承継するのが原則となります。相続財産の全てつまり債権債務を包括的に相続することを単純承認といい、負債を清算する範囲でプラス財産を相続することを限定承認といいます。プラス財産とマイナス財産の両方とも相続しないことを相続放棄といいます。限定承認と相続放棄は家庭裁判所に期間内に申立てをしないと認められません。その限られた時間内に判断をするうえでも遺産の内容の確認をすることは大切です。

  • 資産(プラス財産)には次のようなものがあります。
    1. 土地や建物の不動産
      不動産には所有権以外の借地権や借家権などの賃借権も含まれます。他人から土地や建物を賃借している場合には、借地権や借家権を相続することになります。
    2. 現金や預貯金(外貨預金や投資信託なども含まれます。)
    3. 株式や国債などの有価証券
    4. ゴルフ会員権
    5. 損害賠償請求権
      自動車事故等の不法行為によって損害を受けたことにより、損害賠償請求権が具体的になっている場合には財産的な損害賠償(修理費や治療費等)であるか精神的な損害賠償(慰謝料等)であるか区別はなく、相続財産の対象となります。
    6. 生命保険金
      生命保険金は原則として相続財産には含まれません。保険金受取人の固有財産となりますが、相続税を算出する際の基礎となる財産には含まれますので、ご注意ください。
    7. 死亡退職金
      会社等の死亡退職金はその会社の退職金支払規定等によって、受給権利者の固有財産となるか、相続財産となるか分かれますので、ご注意ください。 
  • 負債(マイナス財産)には次のようなものがあります。
    1. 住宅ローンやカードローンなどの借入金
      借入金も相続の対象となります。しかし住宅ローンや有担保ローンについては団体信用生命保険に加入していることが多く、その場合には主債務者である被相続人が亡くなると保険金の支払によって借入金が返済されます。借入をしている金融機関にご相談ください。
    2. 保証債務
      保証債務には次のようなものがあります。
      1. 他人の借入金の保証人となっているときの(連帯)保証債務
      2. 他人の借家を借りるときに保証人となっている場合の(連帯)保証債務
      3. 他人が就職するときの保証人となっている場合の身元保証

このうち1、2の保証債務については相続されることになりますが、3の身元保証債務は相続されません。
ここで一番やっかいなのが、1の借入金の保証債務でしょう。会社で事業をしている方は会社の借入について連帯保証人となっていることは、比較的容易に確認できますが、被相続人の友人や親戚などの借入金について保証人となっているときは、簡単に確認をすることができません。
保証人の場合、主債務者が順調に返済しているときには、金融機関等から返済を求められることはありませんので、相続時には連帯保証債務があることを知らずに相続をして、その後ある日突然に、金融機関等から主債務者の債務の支払を求められるケースも少なくありません。
もし他人の連帯保証人になっているときは、あらかじめ相続人となる家族にそのことを伝えておくことが大切で、将来の不安を未然に回避するようにしましょう。

004.遺産の確認方法

被相続人から生前にどこにどのような遺産があるか知らされていればよいのですが、案外知らされていないことも多いです。そのような場合どのように探していけばよいでしょうか。

  • 郵便物の確認

    最初にかつ簡単に手に入る情報といえます。金融機関や証券会社、生命保険会社、カード会社、ゴルフ場などからの定期的な案内であたりをつけることができます。また借入がある場合には督促状などでその存在を知ることができるかもしれません。

  • 預金通帳の取引明細の確認

    自宅にある預金通帳やキャッシュカードで、各預金口座の取引明細を確認してください。預金の残高はもちろんですが、取引明細には生命保険料や貸金庫の使用料、マンションなどの管理費の引き落としや証券会社などの他の金融機関に対する払い込みや入金などの履歴が確認できる場合があります。

    • 届出・請求窓口
      取引金融機関
    • 請求できる人
      相続人又は遺言執行者、相続財産管理人等
      ※相続人全員の同意は不要で、相続人であれば請求可能です。
    • 必要なもの
      被相続人の戸(除)籍謄本
      請求する人の戸籍謄本
      請求する人の実印及び印鑑証明書
      請求する人の身分証明書
    • その他
      金融機関は預金口座の名義人が亡くなったことを知った場合、原則として、その名義人の預金口座の入出金及びクレジットカードや公共料金等の引き落とし手続きを停止します。よってそれらの口座振替の代わりに相続人による直接振込等の手続きが発生します。
  • 金融機関への被相続人名義口座の有無の確認

    預金通帳が見当たらなくとも、金融機関に直接確認することで、被相続人名義の口座の有無の確認と取引履歴の請求が可能です。また、他の支店にも預金口座があるかどうかの名寄せをしてくれる金融機関もあります。

  • 固定資産税の納付書の確認

    不動産を所有している場合、毎年5月頃に固定資産税の納付書が送付されてきます。納付書の中には固定資産の一覧も含まれていますので、よく確認してください。

  • 固定資産税課税台帳の閲覧・名寄帳の閲覧

    各市(都)区町村の税事務所において当該管轄所在の被相続人名義の不動産について確認することができます。私道などの共有持分などで課税されていない不動産についても探すことができる場合もあります。

    • 申請者
      相続人又は遺言執行者、相続財産管理人等
    • 申請窓口
      不動産所在地の市(都)町村税事務所、区役所市税担当部署
      ※固定資産税は地方税ですので、税務署では申請することはできません。
    • 必要なもの
      被相続人の戸(除)籍謄本
      請求する人の戸籍謄本
      請求する人の身分証明書
  • 確定申告書等の閲覧

    被相続人が複数の先から給与収入を受けていた場合や個人で事業をしていた場合などには、確定申告をしていた可能性があります。その場合、税務署で被相続人が申告をしていた確定申告書を閲覧することができます。確定申告書には青色申告決算書や収支内訳書も含まれますので、被相続人の収入や所得、収入の支払者、社会保険の加入状況などを把握することができます。国税庁 申告書等閲覧サービス

    • 申請者
      相続人
    • 申請・相談窓口
      被相続人の居住地を管轄している税務署
    • 必要なもの
      被相続人の戸(除)籍謄本
      相続人全員の戸籍謄本
      相続人全員の印鑑証明書
      相続人全員の委任状
      請求する人の身分証明書
    • その他
      この手続きはあくまでも閲覧だけです。コピーやカメラ撮影等をすることはできませんので、必要箇所を書き写すことしかできませんのでご注意ください。また、書き写したものを「原本と相違ないことを証明する。」といった原本証明も行っておりません。
  • 借入金の確認

    借入金は契約書やクレジットカード、利用明細書等があれば、直接、金融機関等に確認することが確実です。しかし複数の借入先から一つ一つ確認をするのも手間がかかります。その場合、各金融機関や貸金業者が加盟している信用情報機関に対して、被相続人の情報開示請求をすることで借入金の内容や支払状況などの情報を確認することが可能です。

005.遺産の評価

遺産の内容が判りますと、次は財産の評価です。現預金や上場株式は容易に評価がわかりますが、土地や建物などの不動産、非上場株式などは評価が難しく、相続人間でも意見が対立する場面が多いです。

  • 土地や建物などの不動産

    一般的に不動産にはいくつか価格がありますが、ざっくり分けると路線価や固定資産税評価額、市場価格の3つがあるといえます。路線価は土地のみに指定されており、相続税を算出するための基準の価格です。固定資産税評価額は土地及び建物でそれぞれ評価されており、その名のとおり固定資産税を課税するための基準の価格です。そして市場価格とは不動産業者に売買価格の査定をしてもらい、数ヶ月以内に売却できそうな価格のことですので、不動産業者によって価格が異なります。
    首都圏では一般的にこれら価格を高額になる順番に並べると、市場価格、固定資産税評価額、路線価という順序になると言われています。しかし借地権や賃貸として貸し出している不動産、店舗や事務所など使用形態などに応じて価格は異なりますので、一概には言えません。
    どうしても揉めるのであれば、不動産鑑定士などによる鑑定評価を算出することも可能ですが、費用がかかることと不動産の状況によって不動産鑑定士によって鑑定評価も異なる場合があることなどを踏まえると、鑑定に出したからと言って容易に解決できるものでもありません。

  • 非上場株式

    非上場株式を評価するには、その株式の企業の決算報告書等の財務内容がないと評価をすることができません。会社の純資産から株式の価格を算出する方法(純資産価額方式)、似たような業種の会社の株式を参考にして株式の価格を算出する方法(類似業種比準価額方式)などがあります。非上場株式等の株式の評価は公認会計士に鑑定してもらい、鑑定評価を算出することが可能です。しかし非上場株式の場合には、流通性が少ない(その会社の承諾がないと株式を譲渡することができません。)ので、さらに評価は難しいといえます。保有を希望しない場合には、会社に対して株式を買取してくれるか確認することがいいかもしれません。

006.遺産の分け方、放棄の仕方

遺産の内容の確認と遺産の評価が決まれば、相続人のうち誰がどの遺産を相続するかを決めるだけです。遺言書がある場合にはそれに従って相続等をしますが、遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分割について協議をして、決定します。

  1. 遺産分割協議

    遺産分割協議は、必ず相続人全員で協議する必要があります。そして分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書を作成してください。なお、相続人のなかに未成年者がいる場合には、その未成年者について家庭裁判所で特別代理人の選任を受けなければならない場合があります。この場合、特別代理人が、その未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。

  2. 遺産分割の方法

    遺産分割にはいくつかの方法があります。

    現物分割 
    遺産をあるがままの姿(1軒の戸建てであれば、そのままの状態)で分割する方法であり、遺産が複数の不動産であったり、預金や上場株式などの金融資産であったりする場合には、比較的分かりやすい分割の方法です。例えば相続人がABCの3人いる場合に、「Aには現金、Bには甲土地、Cには乙土地をそれぞれ取得する。」といった分割の方法です。

    代償分割
    1人もしくは数人の相続人に、その者の相続分を越える遺産を現物で取得させて、その代わりに、その他の相続人に対して、現金等を支払うことで調整する方法です。
    例えば、「Aには甲土地、Bには乙土地、Cは遺産を取得しないが、その代わりにABが1千万円ずつ支払う。」といった方法です。上記の現物分割と組み合わせて利用されるケースが多いです。

    換価分割
    遺産を売却して、その代金等を相続人間で、相続分に応じて分配する分割方法です。例えば、両親が住んでいた地方にある実家など、利活用の予定がなく相続しても利用に困る場合などに、これを相続人全員で売却して、その売却代金を分配するといったケースが想定されます。

    共有分割
    遺産を相続分に従って、共有状態で保有する方法のことです。分割というよりも、問題の先送りといった分割方法です。例えば父親が死亡し、母親と子2人が相続人となっているケースで、目立った遺産が自宅として利用していた一戸建てしかないときに、高齢である母親がその一戸建てを全て相続したいが、子2人に対して代償金を支払う能力がない場合に、その一戸建てを母2分の1、子2人それぞれ4分の1ずつに共有して分割する方法です。

  3. 相続放棄と遺産の放棄

    もし相続財産に多額の借金などの債務が含まれている場合には、『相続放棄』をするかどうか検討する必要があります。一般的には不動産や預金などのプラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多い場合には、相続放棄をすることが多いです。『相続放棄』とは相続開始してから3ヶ月以内に裁判所に相続しませんという申入れの手続きを経て、裁判所に認めてもらうことが必要です。『相続放棄』が認められると、プラスの財産もマイナスの財産の両方を相続しないこととなります。
    遺産分割協議で不動産や預金などのプラス財産である遺産を取得しないことを『相続放棄』と勘違いされる方は少なくありません。相続ではマイナス財産の承継は原則として、相続人全員がその法定相続分に応じて負担することになっています。例えば相続人がABCの3人いて、相続債務が900万円ある場合、「Aが甲土地を取得、Bが乙土地を取得、Cは何も相続しない。」といった協議が3人の間ではまとまったとしても、債権者に対しては相続債務をABCがそれぞれ300万円ずつ負うこととなるのです。

  4. 限定承認

    限定承認とは、遺産のうちプラスの財産の範囲で、マイナスの財産を引受ける方法のことです。この方法は相続開始をしてから3ヶ月以内に相続人全員で行う必要があります。期間内に相続財産の目録を裁判所に対して提出する必要があるなど、手間がかかる割にはプラスの財産を取得することができないといった効果において相続放棄と変らないので、あまり利用されていないようです。

02.相続財産の名義変更手続き

被相続人が所有していた財産について、遺産分割等の手続きが完了した場合には、財産を取得した相続人は、各種名義の書換え手続きをする必要があります。なお、これらの手続きには財産を取得しなかった相続人の協力も必要な場合がありますので、手続きには注意が必要です。行政や年金等の手続きについては「相続手続 いつまでに、何をすれば? 行政への手続届出編」をご参考下さい。

001.不動産の名義変更

被相続人が所有していた土地や建物などの不動産を相続した場合には、登記名義の書き換えが必要となります。不動産の名義変更には遺産分割協議前に法定相続分で相続人全員の名義に変更する方法と遺言書や遺産分割によって確定的に相続人が決定したときにその相続人名義で変更する方法があります。詳しい不動産の名義変更については●をご参考下さい。

  • 届出人
    相続人全員又は相続人のうちの1人、もしくは財産を取得した相続人
  • 届出・相談窓口
    不動産の所在を管轄する法務局
  • 届出期間
    相続開始後もしくは相続人が確定次第速やかに
  • 必要なもの
    登記申請書、被相続人の戸(除)籍謄本と住民票の除票、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書、名義人となる相続人の住民票の写し、固定資産税評価証明書、登録免許税
  • その他
    不動産の相続登記のご相談は登記の専門家である司法書士にお問合せください。

002.預金の名義変更

被相続人名義の預金口座は、死亡届が受理されると引き落とし等することができなくなります。相続人全員による手続きもしくは遺言書や遺産分割協議によって確定した相続人による手続きが必要となります。

  • 届出人
    相続人全員又は財産を取得した相続人
  • 届出・相談窓口
    預け入れの金融機関
  • 届出期間
    相続開始後もしくは相続人が確定次第速やかに
  • 必要なもの
    相続手続依頼書、通帳やキャッシュカード、被相続人の戸(除)籍謄本、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、実印
  • その他
    金融機関によって手続方法及び必要書類が異なりますので、ご相談のうえ手続きをしてください。

003.上場株式の名義変更

被相続人名義の株式は、死亡届が受理されると売買等をすることができなくなります。相続人全員による手続きもしくは遺言書や遺産分割協議によって確定した相続人による手続きが必要となります。

  • 届出人
    相続人全員又は相続人のうちの1人、もしくは財産を取得した相続人
  • 届出・相談窓口
    取引口座のある証券会社、金融機関等
  • 届出期間
    相続開始後もしくは相続人が確定次第速やかに
  • 必要なもの
    相続人代表者選任委任状、相続資産引継ぎ先指定書、被相続人の戸(除)籍謄本、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、実印
  • その他
    証券会社、金融機関によって手続方法及び必要書類が異なりますので、ご相談のうえ手続きをしてください。

004.自動車の名義変更

被相続人が所有していた自動車も相続財産(動産)です。自動車検査証の所有者名義が被相続人である場合に、手続きが必要となります。相続人全員が共有者となり全員名義とするのか、特定の相続人名義にするのかによって必要書類が異なります。

  • 届出人
    相続人全員又は相続人のうちの1人、もしくは財産を取得した相続人
  • 届出・相談窓口
    陸運局支局
  • 届出期間
    相続開始時から15日以内
  • 必要なもの
    申請書(OCR)、自動車検査証、被相続人の戸(除)籍謄本、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書(陸運局所定の用紙)、相続人全員の印鑑証明書、自動車税申告書、手数料納付書、車庫証明書、住民票の写し、印鑑など
  • その他
    自動車の車両本体価格が100万円以下の場合には、遺産分割協議成立申立書を使うことができます。

005.ゴルフ会員権の名義変更

ゴルフ会員権はゴルフ場によって規定があり、名義変更できない場合もあります。また、会員が死亡した場合にはゴルフ場が買い取る場合もあります。ゴルフクラブに問い合わせてください。

  • 届出人
    相続人全員もしくは財産を取得した相続人
  • 届出・相談窓口
    会員となっているゴルフ場
  • 届出期間
    相続開始後もしくは相続人が確定次第速やかに
  • 必要なもの
    ゴルフ会員権証書、被相続人の戸(除)籍謄本、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続同意書(ゴルフ場によって様式が異なります。)、印鑑証明書、名義書換料
  • その他
    ゴルフ場による入会審査がある場合、入会条件によっては入会承認が下りないこともあります。

03.所得税や相続税などの税務上の手続き

被相続人が不動産所得や事業所得などを得ていた場合又は給与所得者でも年収2千万円以上あった場合には、所得税の準確定申告をする必要があります。また、被相続人から取得する財産価額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告をする必要があります。

※準確定申告や相続税などの税務に関する手続は複雑で正確な知識がないとわかりにくい点もあります。また、ここに書ききれていないことも多いので、申告の前には必ず税務署や税理士に相談することをお奨めします。

001.所得税準確定申告・納税

被相続人が自営業者である場合や不動産所得、事業所得などを得ていた場合、給与所得が2000万円以上あった場合などで、確定申告をする必要があるときは、相続の開始があったときから4ヶ月以内に確定申告とそれに伴う納税をしなければなりません。

  • 届出人
    原則、相続人全員が連署により提出します。但し各人が別々に申告することも可能です。
  • 届出・相談窓口
    被相続人の死亡時の納税地を管轄する税務署
  • 届出期間
    相続開始時から4ヶ月以内
    ※期限を越えた場合には、延滞税などがかかる場合があります。
  • 必要なもの
    申告書
  • その他
    被相続人が前年から入院中で、前年の所得税申告・納税をしていなかった場合は、前年分についても「準確定申告」をしなければなりません。

002.相続税申告・納税

被相続人が所有していた財産を、取得した相続人は、その財産価額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告をする必要があります。

  • 基礎控除額
  • 相続税には基礎控除額があり、取得した財産の総額がこの金額を超えなかった場合には、相続税は課税されません。また相続税の申告も不要となります。
    基礎控除額 3,000万円+600万円×法定相続人の数

  • 基礎控除額と正味の遺産額

    相続税は、相続によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。) が基礎控除額を超える場合にその超える部分 (課税遺産総額) に対して、課税されます。

  • 遺産のうち相続税の課税の対象となる正味の遺産額は次の図のとおりです。(国税庁タックスアンサーから引用)

遺産のうち相続税の課税の対象となる正味の遺産額

相続税の申告及び納税

正味の遺産総額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告及び納税が必要となります。その期限は相続開始時から10ヶ月以内となっています。

  • 配偶者の税額の軽減
    配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や相続により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
    • 1億6千万円
    • 配偶者の法定相続分相当額
      ※この税額軽減を受けるには、相続税の申告をする必要があります。
  • 小規模宅地等の特例
    相続により取得した土地のうち一定の面積までは土地の評価額を80%(または50%)減額することができるというものです。ただし一定の要件を満たす必要があります。
    小規模宅地等の特例の特定居住用宅地等の場合、被相続人が土地を所有し、その上に居住している事が前提となります。次の要件を満たす場合に受けられます。
    ※詳しくは税務署又は税理士にご相談ください。
    • 被相続人の配偶者が取得する場合
      要件なし
    • 被相続人と同居している親族が取得する場合
      • 相続税の申告期限までその土地を保有し、かつ、居住していること
    • 被相続人と同居していない親族が取得する場合
      • 被相続人に配偶者や同居していた親族がいないこと
      • 相続開始前3年以内に自己または自己の配偶者が所有する家屋に居住していないこと
      • 相続税の申告期限まで保有していること
  • 遺産分割の手続きが完了していないときの相続税の申告
    相続税の申告は相続開始から10ヶ月以内にすることが必要であり、遺産分割が未了であっても、この期限内にすることが必要です。その場合は、法定相続分等に従い相続したものとして、相続税の計算をして、申告と納税をすることになります。
    その場合には、配偶者の税額の軽減の特例や小規模宅地等の特例などを受けることはできません。
    しかし相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出することで、申告期限から3年以内に遺産分割協議が合意した場合には、特例の適用を受けることができます。
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