大事な人が亡くなった。これからの「相続手続き」について、どんなことを、いつまでにすればいいの?
行政手続き編~死亡届、年金、健康(介護)保険など~
家族の一員が亡くなり、悲しんでいるにもかかわらず、残された親族は葬儀やお墓についてなど相続手続きについて、どうするかなどいろいろとやることが多くあります。
大事な人が亡くなってから、役所や税務署など対して行う「行政上・税務上の手続き」と金融機関や裁判所、法務局などに対して行う「法律上・財産上の手続き」を中心に、いつまでにどのようなことをする必要があるのか、説明いたします。
行政手続きとは?
今回の行政手続き編では、お住まいの地域の市区町村の役所や年金事務所に対してする届出や請求などについて取り上げます。
「行政上の手続き」には、葬儀(火葬・埋葬)のために必要な死亡届をはじめ、年金を受給されていた方についての年金受給停止届などの提出しないといけない手続きと、葬儀費用の補助金や高額医療費の払い戻し、遺族年金の受給などの、申請するとすることでお金が戻ってきたり、支払を受けたりすることができる手続きがあります。
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01.葬儀前又は直後に必要な届出や手続き
死亡届や火葬許可証などは葬儀前にすることが必要ですし、その他も速やかに行うことが求められている届出や手続きです。
001.戸籍の届出(死亡)
死亡後最初に、必ず行うことが必要な手続きになります。葬儀社が代行することも多いですが、戸籍の届出とまとめて行うことができる手続きも多くあるので、相談してください。
(1)届出人
親族、または家主、同居者などの関係者
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の本籍地、または届出人の住所地、亡くなった方が死亡した場所の市区町村の戸籍担当窓口
(3)届出期間
死亡の事実を知った日から7日以内
(4)必要なもの
- 死亡届書(各医療機関にあります。)死亡届の記載要領・記載例(法務省ホームページ)
- 死亡診断書(死亡届に付いています。医師に記入してもらってください。)
- 届出人の認印
(5)その他
印鑑登録証カードや住民基本台帳カードをお持ちの方は、市区町村の戸籍担当にお返しください。
002.火葬・埋葬許可書の申請
火葬やお墓に埋葬するのに必要な書類となります。火葬許可書の発行には火葬場の予約が必要な場合もありますので、あらかじめ相談窓口にお問合せしておくと手間がかからないです。
(1)届出・相談窓口
死亡届を提出すると、その場で発行されることが多いです。
火葬場で火葬許可証の裏に印を押したものが、埋葬許可書となります。
(2)必要なもの
届出人の認印
(3)その他
火葬許可証の発行には、火葬場を決定してその予約が必要な場合があります。
003.住民票の抹消届
住民票は通常、死亡届を提出すると、自動的に消除されますので、手続きは不要です。
(1)届出人
親族など
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の市区町村の住民記録担当窓口
(3)届出期間
死亡した日から14日以内
(4)必要なもの
本人確認書類(運転免許証、パスポート、写真付住民基本台帳カード、在留カードなど)
届出者の認印
004.世帯変更届
成人の方が三人以上の世帯で亡くなった方が世帯主だった場合には、世帯主の変更の手続きが必要となります。
(1)届出人
原則として、新たに世帯主となる人
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の市区町村の住民記録担当窓口
(3)届出期間
死亡した日から14日以内
(4)必要なもの
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、写真付住民基本台帳カード、在留カードなど)
- 届出者の認印
- 国民健康保険証(加入者のみ)
005.年金受給停止の手続(死亡届)
厚生年金や国民年金を受取っていた方が亡くなった場合には、年金受給停止の手続きをとる必要があります。但し、日本年金機構に住民票コードを収録されている方で、戸籍の届出(死亡)を届出期限の7日以内に提出されている方は手続き不要です。
(1)届出が必要な人
年金を受給している方で、日本年金機構に住民票コードの登録をしていない方
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の
年金事務所(厚生年金保険の老齢年金、国民年金を受取っていた方)
市区町村の国民年金担当窓口(障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金のみを受取っていた方)
(3)届出期間
死亡してから10日以内(国民年金は14日以内)
(4)必要なもの
死亡届(報告書) 記入例(日本年金機構ホームページ)
死亡を明らかにすることができる書類(住民票除票、戸籍抄本、死亡診断書(コピー可)など)
死亡した方の年金証書
006.未払年金の支払請求
亡くなった方が厚生年金や国民年金を受取っていたときに、まだ受取っていない年金があるときは、親族が未払の年金を受取ることができる場合があります。届出期間は先ですが、年金受給停止の手続(死亡届)と同時に提出することが多い手続きです。
(1)請求できる人
亡くなった方と生活をともにしていた親族の方。(受取ることでのできる親族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族となっています。)
※配偶者には亡くなった方と内縁関係にある方も含みます。
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の
年金事務所(厚生年金保険の老齢年金、国民年金を受取っていた方)
市区町村の国民年金担当窓口(障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金のみを受取っていた方)
(3)届出期間
死亡した日から2年以内
(4)必要なもの
- 未支給請求書 記載例(日本年金機構ホームページ)
- 未支給請求書身分関係を明らかにすることができる書類(戸籍抄本など)
- 生計同一関係を明らかにする書類(亡くなった方の住民票除票と請求する方の世帯全員の住民票など)
(住民票の住所が亡くなられた方と同一でない場合は、亡くなられた方と生計をともにしていたことについて民生委員などの第三者の証明を受けた書類) - 受取先の預貯金通帳(コピー可)
007.介護保険者の資格喪失届
介護保険は死亡すると自動的に脱退するので、届出不要の自治体が多いですので、窓口に相談ください。
(1)届出人
原則として、親族
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の市区町村の健康保険担当窓口
008.国民健康保険又は後期高齢者医療制度加入者の資格喪失届
国民健康保険や後期高齢者医療制度は死亡すると自動的に脱退するので、届出不要の自治体が多いですので、窓口に相談ください。
(1)届出人
原則として、親族
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の市区町村の健康保険担当窓口
(3)届出期間
死亡した日から14日以内
(4)必要なもの
- 資格喪失届
- 保険者証
- 届出人の認印
02.補助金や給付金などを受取るための手続き
要件に該当する場合、申請又は請求することで埋葬料などの各種の補助金や給付金、高額医療還付金など受取ることができます。
001.健康保険組合加入者の場合の埋葬料請求
健康保険の被保険者が業務外の事由によって亡くなり、葬儀をおこなったとき、葬儀を行った方(喪主)に埋葬費が支給されます。また、被扶養者が亡くなったときには、家族埋葬料として支給されます。組合によって制度や必要書類が異なりますので、詳細は加入されている健康保険組合の窓口にご相談ください。
(1)請求できる人
原則として亡くなった方により生計を維持されていた方又は被扶養者が亡くなったときは被保険者
(2)届出・相談窓口
加入している健康保険組合
(3)届出期間
埋葬を行ってから又は死亡の日から2年以内
(4)必要なもの
- 埋葬料(費)支給申請書
- 生計維持を確認できる種類(亡くなった方の住民票除票と申請者の住民票の写し)
- 葬祭を行った方がわかるもの(葬祭の領収書の写し、会葬礼状など)
002.国民健康保険又は後期高齢者医療制度加入者の葬祭費の申請
国民健康保険又は後期高齢者医療制度に加入している方が亡くなり、葬儀を行ったとき、葬儀を行った方(喪主)に葬祭費(1~7万円 自治体によって異なります。)が支給されます。
(1)請求できる人
葬祭を行った方(喪主)
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の市区町村の健康保険担当窓口
(3)届出期間
葬祭を行ってから2年以内
(4)必要なもの
- 葬祭費支給申請書
- 葬祭を行った方がわかるもの(葬祭の領収書の写し、会葬礼状など)
- 受取先の預貯金通帳(コピー可)
- 亡くなった方の国民健康保険証又は後期高齢者医療被保険者証
003.労災保険の葬祭料の申請
労働者が、業務上又は通勤により死亡したとき、その遺族等に対して、葬祭料が支給されます。
(1)請求できる人
葬祭を行った方(喪主)
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の勤務先の管轄労働基準監督署
(3)届出期間
葬祭を行ってから2年以内
(4)必要なもの
- 葬祭料請求書(勤務先の証明が必要となります。) 記載例(公益財団法人 労災保険情報センターホームページ)
- 死亡診断書のコピー又は死亡届の記載事項証明書
004.国民(基礎)年金の死亡一時金請求
死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた親族が受けることができます。
(1)請求できる人
亡くなった方と生活をともにしていた親族の方。(受取ることでのできる親族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族となっています。)
※配偶者には亡くなった方とは内縁関係にある方も含みます。
(2)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の
年金事務所(厚生年金保険の老齢年金、国民年金を受取っていた方)
市区町村の国民年金担当窓口(障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金のみを受取っていた方)
(3)届出期間
死亡した日から2年以内
(4)必要なもの
- 国民年金死亡一時金請求書
- 身分関係を明らかにすることができる書類(戸籍抄本など)
- 生計同一関係を明らかにする書類(亡くなった方の住民票除票と請求する方の世帯全員の住民票など)
(住民票の住所が亡くなられた方と同一でない場合は、亡くなられた方と生計をともにしていたことについて民生委員などの第三者の証明を受けた書類) - 受取先の預貯金通帳(コピー可)
(5) その他
- 遺族が遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。
- 寡婦年金を受けられる場合は、どちらか一方を選択します。
005.高額医療費の還付請求
国民健康保険、健康保険組合に加入されている方(被保険者と被扶養者)が、同じ月内に同じ医療機関で受けた診療の、保険適用分の一部負担金が自己負担限度額を超えた場合、超えた分を高額療養費として払い戻されます。
(1)届出・相談窓口
住所地の市区町村の健康保険担当窓口(国民健康保険)
加入している健康保険組合(健康保険組合加入者)
(2)届出期間
診療を受けた月の月末から2年以内
(3)必要なもの(全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合)
- 健康保険高額療養費支給申請書(勤務先の証明が必要となります。) 記載例(全国健康保険協会・協会けんぽホームページ)
- 亡くなった方と申請者の記載のある戸籍謄(抄)本
- 助成を受けた診療についての医療機関からの領収書(公的制度から医療費の助成を受け、窓口負担が減額されている場合)
- 負傷原因届(ケガや負傷の場合)
- 第三者行為による傷病届(第三者行為による傷病)
- 収入が確認できる書類(低所得者の適用を受ける場合)
(4) その他
- 払い戻しは、申請から3~4ヶ月程度時間がかかります。
- 市区町村及び健康保険組合によって手続きが異なりますので、相談窓口に確認して手続きしてください。
03.遺族年金などを受取るための手続き
家族の生計を支えていた方が亡くなった場合の残された遺族のための生活の資金です。要件に該当する場合は速やかにお手続きをすると安心です。
001.国民(基礎)年金の遺族基礎年金請求
遺族基礎年金は、国民年金加入中の方が亡くなられたときで、その方によって生計で維持されていた「18歳までにある子(障害の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者」または「子」が受けることができます。
(1)届出・相談窓口
亡くなった方の住所地の市区町村の国民年金担当窓口
(2)届出期間
死亡した日から5年以内
(3)必要なもの
- 年金請求書
- 年金手帳
- 亡くなった方と請求者の戸籍謄(抄)本
- 亡くなった方の住民票除票及び世帯全体の住民票の写し
- 収入が確認できる書類(請求者及び子の所得証明書、子が義務教育終了前は不要、高校在学中は在学証明書など)
- 死亡診断書のコピー又は死亡届の記載事項証明書
- 受取先の預貯金通帳(コピー可)
- その他(死亡の原因が第三者行為による場合や年金加入期間を確認するための書類が必要になる場合もあります。
002.国民年金の寡婦年金請求
寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が25年以上ある夫が亡くなられたときに、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計維持されていた妻(妻が亡くなったときの「寡夫」は含まれません。)が60歳から65歳まで受けることができます。
(1)届出・相談窓口
亡くなった夫の住所地の市区町村の国民年金担当窓口又は最寄の年金事務所
(2)届出期間
死亡した日から5年以内
(3)必要なもの
- 年金請求書
- 年金手帳
- 亡くなった夫と請求者の記載のある戸籍謄(抄)本
- 亡くなった夫の住民票除票及び世帯全体の住民票の写し
- 収入が確認できる書類(請求者の所得証明書)
- 受取先の預貯金通帳(コピー可)
- 年金証書(公的年金から年金をうけているとき)
- その他(死亡の原因が第三者行為による場合や年金加入期間を確認するための書類が必要になる場合もあります。)
(4) その他
- 亡くなった夫が、障害基礎年金を受給していた場合、又は老齢基礎年金を受給していたことがある場合は支給されません。
- 妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。
003.厚生年金の遺族厚生年金請求
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった方(加入中の傷病がもとで初診日から5年以内に亡くなった時)が亡くなられたときで、その方によって生計維持されていた遺族(1.配偶者または子、2.父母、3.孫、4.祖父母の中で優先順位の高い方)が受けることができます。
(1)届出・相談窓口
最寄の年金事務所
(2)届出期間
死亡した日から5年以内
(3)必要なもの
- 年金請求書
- 年金手帳
- 亡くなった方と請求者の記載のある戸籍謄(抄)本
- 亡くなった方の住民票除票及び世帯全体の住民票の写し
- 収入が確認できる書類(請求者及び子の所得証明書、子が義務教育終了前は不要、高校在学中は在学証明書など)
- 死亡診断書のコピー又は死亡届の記載事項証明書
- 受取先の預貯金通帳(コピー可)
- その他(死亡の原因が第三者行為による場合や年金加入期間を確認するための書類が必要になる場合もあります。)
(4)その他
- 子のある配偶者又は子には、遺族基礎年金も併せて支給されます。なお、子は遺族基礎年金の受給の対象となる子に限ります。
004.労災保険の遺族補償給付請求
労働者が、業務上又は通勤により死亡したとき、その遺族に対して、遺族補償給付が支給されます。遺族補償給付には、遺族補償年金と遺族補償一時金の2種類があります。
遺族補償年金は、死亡時に、労働者の収入によって生計を維持していた配偶者(内縁関係を含む)、子などの親族(但し、妻以外の方は年齢等の条件があります。)に支給されます。
遺族補償一時金は、労働者の死亡当時、遺族補償年金の受給資格者がないとき(死亡労働者の収入によって生計を維持していた遺族がいない、生計を維持していた遺族はいるが年齢条件を満たさない等)に、親族等に支給されます。
(1)届出・相談窓口
亡くなった方の勤務先の管轄労働基準監督署
(2)届出期間
死亡の日から5年以内
(3)必要なもの(遺族補償年金の場合)
- 遺族補償年金支給請求書(勤務先の証明が必要となります。)記載例(公益財団法人 労災保険情報センターホームページ)
- 亡くなった方と請求者の記載のある戸籍謄(抄)本
- 亡くなった方の住民票除票及び世帯全体の住民票の写し
- 収入が確認できる書類(請求者及び子の所得証明書、子が義務教育終了前は不要、高校在学中は在学証明書など)
- 死亡診断書のコピー又は死亡届の記載事項証明書
- 遺族厚生年金、遺族基礎年金、寡婦年金等の受給を受けるときは、支給額を証明することができる書類
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