「相続放棄」って言葉はよく聞くけど、この際だから、本当の意味をちゃんと知っておこう。
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01.はじめに
人は亡くなるとその人が持っていた財産、借金などのすべての資産を配偶者や子どもなど誰かしらに、その資産を引き継ぐことになっています。
財産や借金などの財産を引き継ぐことを「相続」といいます。そして亡くなった人のことを「被相続人」といいます。財産を引き継ぐ人のことを「相続人」といいます。さらに民法では誰が相続人になるかということが定められており、法の定めに従い財産を引き継ぐ権利のある相続人のことを「法定相続人」といいます。「法定相続人」は被相続人が亡くなったときの家族構成や相続放棄などによって変更されることになります。
そして被相続人が遺言を残していなければ、被相続人の財産や借金などのすべての資産を、法定相続人が引き継ぐことになるのですが、誰がどの割合で資産を相続するかということも民法には定められていて、その割合のことを「法定相続分」といいます。
「法定相続人」と「法定相続分」について、詳しく知りたい方は「相続手続 知っておきたい相続人の範囲に関する9のポイント」をご覧下さい。
それでは次のイラストをご覧下さい。
このケースでは、亡くなった人は「夫」ですので、夫が「被相続人」となります。配偶者である妻と子どもである長男と長女の3人が民法で定められた「法定相続人」となります。そして夫の全ての資産のうち2分の1の資産を妻が、長男と長女はそれぞれ4分の1ずつの資産を引き継ぐことになります。
02.相続放棄とは?
「相続放棄」とは、法定相続人が家庭裁判所に「相続放棄」をしたい旨を申請すると、法定相続人となる資格を失い、そして被相続人の資産を相続することがなくなります。このとき相続の対象となる資産にはプラスになる財産と借金などのマイナスの財産の両方を含みます。
例えば「被相続人」の資産状態を調べてみると、プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多いとき場合、そのまま「相続人」となると、プラスの財産とマイナスの財産である借金の両方を引き継ぐことになるので、プラスの財産だけでは借金を返済できないため、「相続人」となった人の財産でその借金の残りを返済しないといけなくなります。
このような場合、「相続放棄」をすることで、「被相続人」の財産を受取ることはできませんが、その代わりに被相続人の借金なども引き継ぐ必要はなく、返済する義務を負わなくなるのです。
03.相続放棄をするとどうなるの?
「相続放棄」の手続をした「法定相続人」は「相続人」ではなくなります。つまり「被相続人」から引き継がれるべきであった資産は、他の相続人に引き継がれることになります。
もう一度、上のイラストの事例で具体的に見てみましょう。
妻が相続放棄をした場合
妻の相続分が子どもに引き継がれますので、長男と長女の相続分の割合はそれぞれ2分の1となります。
妻と子ども2人が相続放棄した場合
この場合、妻と子どもがいないかったものとみなして、次に「法定相続人」になる者は誰かということを考えますので、祖母が「法定相続人」となります。このときの祖母の「法定相続分」は1分の1ですので、被相続人の全ての資産を引き継ぐことになります。
妻と子ども2人、母が相続放棄した場合
02と同様に、相続放棄した者は最初から相続人でないと考えると、次の順位の法定相続人は、兄弟姉妹などになります。被相続人の叔母は健在ですが、叔父はすでに亡くなっていて兄の子どもである甥がいます。この叔母と甥の2人が「法定相続人」となります。相続分の割合はそれぞれ2分の1になります。
04.全員でする相続放棄
このように、「相続放棄」をすると同順位又は次順位の法定相続人が被相続人の資産を引き継ぐこととなります。もし被相続人の資産として借金などの債務しかないことを理由に相続放棄をするのであれば、第1順位の妻と子ども2人だけでするのでなく、第2順位の両親、第3順位の兄弟姉妹の全員が同時にすることが、他の親族はもちろん債権者等にも迷惑をかけることが少なくなりますので、お勧めします。
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