相続登記の申請書の書き方
(法定相続分での相続登記)
相続人間で遺産分割協議を行わなかった場合もしくは成立しなかった場合には、相続不動産は法定相続分で共有することになります。(ただし遺言書がある場合には、遺言で指定されたものが承継することになります。)相続不動産を共有とすることは、将来を考えると望ましくありませんが、一時的に共有名義に変更することも少なくありません。
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遺言書がある場合の相続登記の申請書の書き方
不動産登記の申請方法
不動産登記申請には、申請書類を作成して、法務局の窓口に直接提出する方法と郵送で送付する方法、インターネットを利用したオンライン申請する方法があります。オンライン申請は、PC上でデータを入力して申請しますので、申請書類を作成することはありません。ここでは、法務局の窓口に直接提出するための申請書類の書き方についてご紹介します。
事案
被相続人である甲山太郎が平成29年2月1日死亡しました。甲山太郎には、配偶者の甲山花子、長男の甲山一男、長女の乙山月子の3名の相続人がいました。甲山太郎は遺言を残していませんでした。相続人間は遺産分割について相談したのですが話し合いがまとまりませんでした。そこで甲山花子は、1人で一時的に法定相続分での相続登記申請をすることに決めました。
関連情報
- 被相続人が遺言書を残していた場合には、遺言に基づく相続登記申請をすることになります。
- 相続人全員での話し合いで相続不動産を取得する者を決めた場合は、遺産分割協議による相続登記申請をすることになります。
- 法定相続分とは、遺言書がない場合に、民法で定められた各法定相続人が譲り受けることのできる遺産相続の割合のことです。配偶者と子供が相続人である場合には、配偶者1/2 子供1/2(子供が2人以上いる場合には等分)となっています。
登記申請書
登記の目的
- 被相続人が単独で不動産を所有していた場合には、「所有権移転」と記載します。
- 共有で不動産の持分を所有していた場合には、「甲山太郎(被相続人の氏名)持分全部移転」と書きます。
登記の原因
- 被相続人の死亡した日に相続が開始しましたので、甲山太郎の死亡日(戸籍上の死亡日)「平成29年2月1日相続」と記載します。
相続人
- 被相続人の氏名も記載します。
- 相続不動産を取得する者の住所と氏名を記載します。住民票の写しに記載しているとおりに正確に記載する必要があります。相続不動産は法定相続分で共有することになりますので、それぞれの持分を記入してください。
- 申請人は押印(認印でも可)してください。
- 法定相続分での相続登記申請は各相続人が他の相続人の同意なく、単独で申請することができます
- 申請書の記載内容等に間違い等がある場合には、法務局の担当者から連絡する場合がありますので、平日日中に連絡が受けられる連絡先を記載します。(携帯電話の番号でも可)
添付情報
- 登記原因証明情報とは、被相続人の除籍謄本(出生から死亡までの期間の改製原戸籍や除籍謄本を含みます。)と相続人の戸籍謄本のことです。
- 住所証明書とは、住民票の写しのことで、相続人全員のものが必要になります。マイナンバー(個人番号)が記載されていないものを用意してください。
登記識別情報
- 登記識別情報とは、登記済権利証に代わり登記完了後に登記名義人に対して交付される通知書です。次に売却等の手続きをする場合に必要になりますので、交付を希望しておきます。ただし、登記の申請人でかつ登記名義人に対して交付されるものですので、申請人以外の相続人に対しては交付ませんので注意が必要です。
申請日及び法務局
- 法務局へ提出する日付を記入してください。郵送で送付する場合は発送する日を記入してください。
- 不動産が所在する地域を管轄する法務局に申請しますので、法務局のHPで事前に確認してください。
課税価格
- 固定資産税評価証明書に記載されている価格を記載することになります。1000円未満の端数は切り捨てになります。
登録免許税
- 相続を原因とする所有権移転の場合の税率は0.4%(1000分の4)となります。課税価格に税率である0.4%を乗じます。計算した金額に100円未満の端数がある場合には、切り捨てになります。
- 登録免許税は収入印紙で納付することが多いです。
不動産の表示
- 登記の申請をする不動産を、登記記録(登記事項証明書)に記録されているとおりに正確に記載してください。
様式
- A4用紙で作成してください。手書きで書いても大丈夫です。
- 申請書が複数枚にわたる場合には、各用紙のつづり目に必ず契印をしてください。申請者が2人以上いる場合でも、1人が契印することで足ります。
- 申請書に1ページ追加して、収入印紙を貼付します。(割印や消印はしないでください。)
相続関係説明図
- 相続関係説明図を提出した場合、登記原因証明情報として提出した被相続人の「除籍謄本」や相続人の「戸籍謄本」等を、登記手続完了後に原本還付をして返却してもらうことができます。
- 配偶者「甲山花子」と長男「甲山一男」、長女「乙山月子」の上にある「(相続)」とは、3人が相続不動産を取得するということを意味します。
<POINT>
- 法定相続分での相続登記申請は各相続人が他の相続人の同意なく、単独で申請することができます。しかし申請人以外の相続人に対しては、登記識別情報通知書は交付されません。
- 相続関係説明図を提出した場合、戸籍謄本等の書類を登記が完了した後に、返却してもらえます。
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