不動産登記

相続人が認知症になってしまった場合の相続手続

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
相続人が認知症になってしまったときの手続き

相続人のひとりが認知症になってしまいました。
どのように不動産の相続登記(名義変更)を
進めればよいのでしょうか?

不動産の相続登記(いわゆる名義変更)の申請の方法は、原則として財産を譲り受ける相続人が単独で申請することができますので、相続人のうち一人が認知症になってしまって、事理弁識能力が低下していても手続をすることができます。

しかし遺産分割協議による相続登記(名義変更)手続をする場合には、相続人全員が参加することが必要ですが、認知症になってしまった相続人には遺産分割について適切に判断する能力が不足していますので、この相続人のために代理人を選任して、協力してもらう必要があります。

成年後見制度には2つの制度がある

本人が認知症や精神障害などの理由で判断能力が不十分な場合、不動産や預貯金などの財産を管理したり、遺産分割協議をしたりする必要があっても、本人が自分でこれをすることが困難な場合があります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

成年後見制度は、大きく分けると法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。

既に認知症等によって判断能力が不十分な場合には、法定後見制度を利用することになります。法定後見制度では、裁判所が選任した成年後見人が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をすることができます。現在住んでいる自宅等を売却したり、遺産分割協議を本人にとって不利な条件で合意したりすることは、裁判所の許可が必要となります。

一方、任意後見制度とは、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自分が選任した任意後見人に自分の生活や財産管理に関する事務について代理権を与えておくものです。元気なうちにあらかじめ委任する内容や生活の希望について決めることになるので、いざというときに本人の意思に従った適切な支援をすることができます。

相続人の一人が認知症の場合の遺産分割手続きの流れ

 

関連情報

本人の判断能力が十分でないにもかかわらず、他の相続人が本人に遺産分割協議書に署名押印させた場合は、その遺産分割協議は無効となります。遺産分割協議の無効の効力には消滅時効の適用はありませんので、無効の主張はいつでもだれでもできます。たとえ遺産分割協議を成立させた当時は、他の相続人も納得していたとしても、将来のトラブルを引き起こす原因となるので、揉めごとを回避するためにも成年後見制度を活用することをお勧めします。

成年後見人の義務と遺産分割協議

成年後見制度は、成年後見人が本人のための法律行為の代理をしたり、療養看護や財産管理をしたりする制度ですので、本人にとって不利益が生じてしまうような行為を、成年後見人は本人に代わってすることは、原則できません。
たとえば、認知症となってしまった母と子どもたち(成人)が遺産分割協議をする場合、母は判断能力が十分にあった頃、母は自分の相続分のすべてを子どもたちに譲渡することを伝えていたとします。このとき成年後見人は、元気であった頃の本人の意思を尊重して、相続分のすべてを譲渡する内容の遺産分割協議を成立させるには、原則として裁判所の許可が必要となります。裁判所は、成年後見制度が本人の利益を保護することが目的であることを鑑み、積極的に許可を出すことはありません。許可がでないときは、成年後見人は本人の法定相続分をきちんと確保した持分や価格とする内容の遺産分割協議でないと成立させることはできません。
もし母が判断能力の十分あるときに任意後見契約を締結し、その契約内容として母が取得する相続分を子どもたちに譲渡することを定められていた場合には、その本人の意思が優先されることとなり、成年後見人は全員が納得する遺産分割協議をすることが可能になります。

法定成年後見人がする遺産分割手続きの限界

 

関連情報
  • 成年後見人が被後見人の親族であり、2人が共同相続人となっている場合の遺産分割協議は、未成年者の遺産分割のときと同じく利益相反行為についての問題が生じますので、成年後見人は本人の代わりに遺産分割協議に参加することはできません。
    成年後見監督人がいる場合には、後見監督人が本人についての遺産分割手続に参加して手続きを進めます。後見監督人がいない場合には、家庭裁判所に対して特別代理人の選任の申立てをして、本人の代わりに特別代理人が遺産分割を行います。(相続放棄|未成年者には特別代理人の選任が必要!?)
  • 本人が所有している不動産を売却しようとする場合にも、本人の判断能力が不十分であるときには、成年後見制度を利用して成年後見人を選任して、成年後見人が本人に代わり手続きを行う必要があります。

<POINT>

  • 相続を原因とする不動産の名義変更は、原則遺産をもらう者が単独で申請することができますので、認知症になった相続人がいても、その相続人が手続きに協力してくれなくとも、相続手続きを進めることはできます。
  • 遺産分割協議をする場合には、相続人全員の参加が必要です。認知症になった相続人のために成年後見人を選任し、本人に代わり遺産分割手続きを進めてもらう必要があります。
  • 法定成年後見制度を利用する場合には、本人に利益を保護する必要性から、法定相続分に相当する遺産分割をすることになります。もし事前に本人が遺産分割について希望がある場合には、任意後見制度などの活用をご検討ください。

≫ 不動産の相続登記(名義変更)手続のよくある質問 TOPへ戻る

あわせて知りたい

⇒ 不動産の相続登記の申請方法はどのような種類があるのか?
⇒ 相続登記の必要書類
⇒ 相続放棄|未成年者には特別代理人の選任が必要!?
⇒ 成年後見人の選任の手続き
⇒ 任意後見制度とは?

コンタクトフォームへのリンク 

コメント

コメントを残す

*