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民法(債権法)改正|定型約款

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定型約款についてルールを新設して法的根拠を明確化

定型約款についてルールを新設して法的根拠を明確化

1.定型約款の定義とみなし合意

ポイント

  • 定型約款とは、約款のうち、定型取引において、契約の内容とすることを目的として、あらかじめ準備された条項の総体と定義されます。定型取引とは、不特定多数の者を相手方として行う取引で、その内容が画一的であることが当事者にとって合理的なもののことです。
  • 定型取引を行うことの合意をした者は、定型約款を契約の内容とする旨の合意、又はあらかじめ定型約款を契約の内容とする旨の表示をしていたときは、個別条項について合意したものとみなされます。
  • 定型約款の内容について、不当性があり信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、一部条項が無効となるのではなく、定型約款について合意不成立となり効力が失われることとなります。
  • 取引の相手方は、定型取引の前又は後に、定型約款の内容の開示請求をすることができます。正当な事由がなく開示請求に応じない場合は、定型約款の個別の条項について合意はあったとみなされません。

理由

  • 約款の代表的な例とすると、銀行取引や旅行契約をするときに提示又は交付される細かい字で書かれた書面が挙げられます。本来、契約は当事者がその内容について確認し合意することで成立しますが、約款については内容の確認や明確な合意の意思表示がなく、契約として成立することとなっていました。現行民法では、約款に関するルールが定められていませんので、約款による取引についてトラブルは少なくありませんでした。
    約款の具体的な例:標準旅行業約款(国土交通省)

実務への影響

  • 労働契約は、相手方の個性に着目して締結されるものなので、労働契約書のひな型は定型約款に該当しません。
  • 事業者間取引における基本契約書に合意したうえで行われる、個別の売買取引における基本契約書の内容は、定型約款には該当しません。
  • 事業者間取引でも、オフィスソフトの購入契約や預金契約は定型約款に該当します。

2.定型約款の変更

ポイント

  • 定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ定型約款の変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期を周知しなければなりません。
  • 定型約款の変更の内容が「相手方の一般の利益に適合しないとき」又は「契約をした目的に反しているとき」は、変更の効力は認められません。

理由

  • 定型約款の内容が契約の内容となる合意した後に、相当期間が経過した後、その定型約款の内容を変更する必要が生じた場合のルールを設けました。

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改正条文

第5款 定型約款

(定型約款の合意)
第548条の2 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
 一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
 二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。

2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。

(定型約款の内容の表示)
第548条の3 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。

2 定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。 

(定型約款の変更)
第548条の4 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
 一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
 二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

2 定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。

3 第1項第2号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。

4 第548条の2第2項の規定は、第1項の規定による定型約款の変更については、適用しない。

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