民法改正

民法(債権法)改正|消費貸借

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民法(債権法)改正消費貸借

消費貸借は諾成契約でも成立することに

1.書面による諾成的消費貸借

ポイント

  • 書面でした場合には、金銭等の目的物の引渡しをする前でも、契約は成立することになり、このとき貸主は借主に目的物を引き渡す義務を負うことになります。
  • 従前のどおり、目的物の引渡しを契約成立の要件とする要物契約も併存することになります。

消費貸借契約の成立

理由

  • 判例(最判昭和48年3月16日)において諾成的な消費貸借を認めています。
  • 実務上も、住宅ローンや企業の大型プロジェクトのように融資の約束に拘束力が必要な場合が少なくありません。

実務への影響

  • 金銭消費貸借契約は、ほとんどが書面でなされていることから、実務には大きな影響は少ないと思われます。
  • 諾成的消費貸借契約を借主が解除した場合に、借主は、貸主に生じる損害を賠償する必要があります。しかし消費者金融のように多数の小口貸付けを行っている場合には、解除をしても特段の損害が生じないと考えられています。また、事前に賠償額の予定の額を定めていて、その額が過大であるときは、公序良俗や不当条項規制、消費者契約法9条の規律が適用されると考えられています。

2.合意による利息の発生

ポイント

  • 消費貸借は無利息が原則で、利息を請求するには、その合意が別に必要です。
  • 利息の請求は、金銭等の目的物を受取った日も含めて、することができる。

理由

  • 現行民法上、無利息を原則としていたが、その旨の規定がなかった。
  • 利息の発生日については元本の受領日から生ずるという判例法理(最判昭和33年6月6日) を明文化した。

3.期限前弁済

ポイント

  • 借主は、いつでも期限前に弁済することができます。但し、返還の時期が定められている場合においては、貸主が損害を受けた場合には、その損害の賠償を請求できるとしています。

理由

  • 従前は、現行民法136条2項を適用していたが、これを具体化して定めました。

実務への影響

  • 消費者金融のように多数の小口貸付けを行っている場合には、期限前弁済をしても特段の損害が生じないと考えられています。

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改正法(新条文)

(書面でする消費貸借等)
第587条の2 前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

2 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。

3 書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。

4 消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。

(準消費貸借)
第588条 金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。

(利息)
第589条 貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。

2 前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる。

(貸主の引渡義務等)
第590条 第551条の規定は、前条第一項の特約のない消費貸借について準用する。

2 前条第一項の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる。

(返還の時期)
第591条 (略)

2 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。

3 当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。

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