民法改正

民法(債権法)改正|意思表示

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錯誤は無効事由から取消事由へ

1.心裡留保と第三者保護の要件

ポイント

  • 心裡留保の無効を、「善意の第三者」に「対抗」することはできません。「無過失要件」は不用であることを明確化しました。

理由

  • 判例(最判昭和44年11月14日)において民法94条2項を類推適用するとしており、善意であれば足り、無過失であることを要しないとしている。

2.錯誤は無効から取消事由に

ポイント

  • 錯誤の効力を無効から取消事由に改めました。
  • 表意者に重過失があっても、相手方の悪意又は重過失があるとき、もしくは相手方も同一に錯誤の状態であるときは、例外的に取り消すことができます。
  • 錯誤による取消は「善意無過失」の第三者には「対抗」することはできません。

錯誤取消と第三者保護要件

理由

  • 錯誤の場合において、無効とするのは行き過ぎであるという批判があった。
  • 現行民法では、表意者に重過失があれば、錯誤主張ができないと解することもできたことから、錯誤が認められる例外を明文化した。
  • 現行民法では、錯誤の主張に関し第三者保護要件を要するか否か明確ではなかったから、これを明文化した。

実務への影響

  • 錯誤が無効事由から取消事由と改められたことから、効力発生のための主張の要否や主張可能期間の制限、追認による効力発生の可否など、適用される規定が異なるので注意が必要です。

3.第三者詐欺の適用範囲を拡大

ポイント

  • 第三者が詐欺を行った場合は、相手方がその事実について「知っているとき」又は「知ることができたとき」に限って取り消すことができます。
  • 詐欺による取消は「善意無過失」の第三者には「対抗」することはできません。

詐欺取消と第三者保護要件

理由

  • 心裡留保の表意者が保護されるときの要件と比較して、詐欺の方が帰責性は小さいと考えられることから、少なくともこれと同等にし、「相手方がその事実を知っていたとき」を「相手方がその事実を知り、又は知ることができたとき」に改めるものである。
  • 被害者的立場にある当事者を保護する必要性が高いので、無過失であることを明確にするために「善意」を「善意無過失」と改めるものです。

実務への影響

  • 第三者が詐欺取消の適用を受けないためには、知らなかっただけではなく、知らないことにつき無過失であることも立証することが必要となります。

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【改正法(新条文)】

(心裡留保)
第93条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

(錯誤)
第95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
 一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
 二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
 一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
 二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

(詐欺又は強迫)
第96条 (略)

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

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