民法改正

民法(債権法)改正|弁済

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第三者弁済した代位者の権利行使の要件と効果を明文化

第三者弁済した代位者の権利行使の要件と効果を明文化

1.第三者の弁済

ポイント

  • 正当な利益を有しない第三者が債務者の意思に反して弁済することはできないとしたうえで、債務者の意思に反することにつき債権者が善意であるときは、例外的に弁済を有効としました。
  • 債権者は、第三者が債務者の委託を受けていることを知っているときを除き、債務者の意思に反していなくても、正当な利益のない第三者からの弁済を拒絶することができます。

理由

  • 債務者の意思の尊重と過酷な求償権の行使から債務者を保護する趣旨から、第三者弁済の効果を安定させる方向へ改正することになりました。

2.弁済による代位

ポイント

  • 現行民法では、債権者の承諾を要件として債権者に代位できるとしていましたが、改正では、この債権者の承諾の要件を不要としました。
  • 保証人が弁済して債権者に代位したとき、設定されていた抵当権などの登記について、移転登記なくとも第三取得者に対抗できることになります。
  • 債権の一部について代位弁済があったときの代位者と債権者間における、権利行使の要件と効果を明らかにしました。判例(大決昭和6年4月7日)では、代位者は単独で抵当権を実行できるとしていましたが、債権者の同意が実行の要件と改正されます。また、権利行使の結果、得られる金銭について債権者が代位者より優先されることが明文化されます。(最判昭和60年5月23日、最判昭和62年4月23日)

弁済による代位と抵当権の移転

理由

  • 債権者が第三者から弁済の受領をしながら、代位を承諾しないのは不相当であるとしていました。代わりに債権者には第三者からの弁済拒絶権を設けることになりました。
  • 判例では一部弁済の代位者が単独で抵当権の実行をできるとしていましたが、本来の権利者である債権者が権利行使の時期を選択できないことによる不利益を被るのは妥当ではないという強い批判を受けて、債権者の同意を行使の要件に置きました。

実務への影響

  • 弁済済みの抵当権付不動産を売買する際には、その弁済が保証会社等の第三者によるものでないかどうか、確認することが必要になります。
  • 一部弁済の代位者の権利行使は、金融実務では、金融機関(債権者)の同意がなければ行使することができないとの特約を置くことが多いため、金融機関と保証契約を結ぶ保証人等に関して影響は少ないと考えられます。

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改正条文

(弁済)
第473条 債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。 

(第三者の弁済)
第474条 債務の弁済は、第三者もすることができる。

2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。

3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。

4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。 

(弁済として引き渡した物の取戻し)
第475条 (略) 

(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等)
第476条 前条の場合において、債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げない。 

(預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済)
第477条 債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる。  

(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
第478条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

(受領権者以外の者に対する弁済)
第479条 前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。 

第480条 削除

(差押えを受けた債権の第三債務者の弁済)
第481条 差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。

2 (略) 

(代物弁済)
第482条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。 

(特定物の現状による引渡し)
第483条 債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。 

(弁済の場所及び時間)
第484条 (略)

2 法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる。 

(受取証書の交付請求)
第486条 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。 

(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)
第488条 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第1項に規定する場合を除く。)は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

2・3 (略)

4 弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第1項又は第2項の規定による指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。
 一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものに先に充当する。
 二 全ての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。
 三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。
 四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。

(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)
第489条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては、同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限る。)において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。

2 前条の規定は、前項の場合において、費用、利息又は元本のいずれかの全てを消滅させるのに足りない給付をしたときについて準用する。 

(合意による弁済の充当)
第490条 前2条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。 

(数個の給付をすべき場合の充当)
第491条 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、前3条の規定を準用する。 

(弁済の提供の効果)
第492条 債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。 

(供託)
第494条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
 一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
 二 債権者が弁済を受領することができないとき。

2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。

(供託に適しない物等)
第497条 弁済者は、次に掲げる場合には、裁判所の許可を得て、弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができる。
 一 その物が供託に適しないとき。
 二 その物について滅失、損傷その他の事由による価格の低落のおそれがあるとき。
 三 その物の保存について過分の費用を要するとき。
 四 前三号に掲げる場合のほか、その物を供託することが困難な事情があるとき。

(供託物の還付請求等)
第498条 弁済の目的物又は前条の代金が供託された場合には、債権者は、供託物の還付を請求することができる。

2 (略) 

(弁済による代位の要件)
第499条 債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。

第500条 第467条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する。 

(弁済による代位の効果)
第501条 前2条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。

2 前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の1人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。

3 第1項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。
 一 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
 二 第三取得者の1人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
 三 前号の規定は、物上保証人の1人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。
 四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
 五 第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。

(一部弁済による代位)
第502条 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使することができる。

2 前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使することができる。

3 前2項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によって得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する。

4 第1項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。

(債権者による担保の喪失等)
第504条 弁済をするについて正当な利益を有する者(以下この項において「代位権者」という。)がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位権者は、代位をするに当たって担保の喪失又は減少によって償還を受けることができなくなる限度において、その責任を免れる。その代位権者が物上保証人である場合において、その代位権者から担保の目的となっている財産を譲り受けた第三者及びその特定承継人についても、同様とする。

2 前項の規定は、債権者が担保を喪失し、又は減少させたことについて取引上の社会通念に照らして合理的な理由があると認められるときは、適用しない。

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