不動産登記

相続登記に必要な戸籍謄本とその種類

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
46. 相続登記に必要な戸籍謄本とその種類

戸籍謄本の種類と相続登記に必要な戸籍謄本の範囲

相続登記の申請には被相続人や相続人の戸籍謄本や除籍謄本などの各種戸籍を提出する必要があります。

戸籍謄本を取り寄せることで、被相続人が死亡したことや相続人が誰であるかを特定すること、相続資格が失われていないことなどを確認することができます。
相続人を特定するには、被相続人が出生してから亡くなるまでの期間の連続した戸籍が必要になります。戸籍は過去数回の法改正によって全面的な書き換えが行われているため、複数の種類の戸籍謄本を取得しなければ、全ての情報を漏れなく確認することはできません。

また、法定相続人に父母や兄弟姉妹が含まれている場合には、用意が必要な戸籍謄本の範囲も異なります。

 Menu

  1. 戸籍にはいろいろな種類がある
    1.戸籍謄本と戸籍抄本
    2.全部事項証明と個人事項証明
    3.除籍謄本
    4.改製原戸籍謄本
  2. 相続登記には被相続人が出生してから死亡するまでの連続した戸籍謄本が必要
    1.連続した戸籍謄本が必要な理由
    2.法定相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合の事案
  3. 相続登記に必要な戸籍謄本の範囲
    1.相続人が配偶者と子である場合
    2.相続人が配偶者と父母、祖父母などの直系尊属である場合
    3.相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合

戸籍にはいろいろな種類がある

戸籍謄本と戸籍抄本

戸籍とは本籍地の市区町村で管理されている紙の帳簿なのですが、戸籍に記載されている者の全員分をコピーして市区町村が認証した書面のことを「謄本」といいます。一方、「抄本」とは、謄本と同じく写し(コピー)で市区町村が認証したものなのですが、戸籍に記載されている全員分の内容ではなく、一部の者について記載されている書面のことをいいます。

全部事項証明と個人事項証明

現在、市区町村では、戸籍のコンピューター化が進められており、新しい様式は紙の戸籍を写(コピー)したものでなく、一覧表としてプリンターから出力されたものを証明書として交付しています。戸籍として戸籍に記載されている全員分の証明書(つまり戸籍謄本にあたるもの)のことを戸籍全部事項証明といい、一部の者だけの証明書(戸籍抄本にあたるもの)のことを戸籍個人事項証明といいます。

除籍謄本

除籍謄本とは、在籍している者が誰もいなくなってしまった状態の戸籍のことをいいます。

戸籍に記載されている者が、結婚するとその者は戸籍から抜けて新しい戸籍に移転することになります。結婚以外にも離婚や本籍地を移転したような場合にも新しい戸籍に移転します。このように生きていいる者が別の戸籍に移ることを「転籍」といいます。また死亡や失踪宣告などによって戸籍からいなくなることを「除籍」といいます。

このように除籍謄本は、現時点では在籍している者がいない戸籍なのですが、当該戸籍が作成されてから除籍(在籍している者が誰もいなくなる)されるまでの経緯や事実を確認することができます。

また、戸籍法上厳密に言うと除籍謄本とは、上記のような戸籍のことを指すのですが、被相続人の除籍謄本という場合には、「被相続人が除籍されたという記録が記載された戸籍謄本」を指すこともあります。実は当事務所の記事でも「在籍している者が誰もいなくなった戸籍」という意味ではなく、「被相続人が死亡したことを証明する戸籍謄本」という意味で使用しています。

改製原戸籍謄本

明治時代の初めに全国統一の戸籍が作成されてから、現在までに戸籍制度は何回かの大きな改正が行われてきました。そして改正に伴って全面的に戸籍の書き換えが行われました。その書き換えられる前の戸籍を「改製原戸籍」(「かいせいげんこせき」「かいせいはらこせき」)と言います。

その中で最も新しい改正は、平成6年の法改正で行われたもので、それまでの戸籍は紙で作成されていた戸籍簿であったものが、これをコンピューターで管理するためにデータベース化されるようになりました。この平成6年の法改正によって作成されたコンピューター化された戸籍を「現在戸籍」といい、それまでの紙の戸籍簿は「改製原戸籍」となるわけで、これを「平成改製原戸籍」と言います。

これ以前の改製は、明治19年式戸籍、明治31年式戸籍、大正4年式戸籍、昭和23年式戸籍があり、その都度様式の変更が行われ、それぞれの改正に基づく改製原戸籍が存在することになります。

POINT
  • 戸籍全部事項証明書とは市区町村が戸籍をコンピューター化したことによって、今までの戸籍謄本の代わりに発行する、戸籍の証明書のことです。
  • 戸籍制度は何回かの法改正によって、戸籍の様式について全面的な書き換えが行われています。書き換え前の古い戸籍のことを「改製原戸籍」といいます。

相続登記には被相続人が出生してから死亡するまでの連続した戸籍謄本が必要

相続登記では、被相続人の相続人を特定するために、被相続人の現在の戸籍謄本だけでなく、生まれてから死亡するまでの期間の連続した戸籍謄本として、「戸(除)籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」などの複数の戸籍の提出が必要です。

連続した戸籍謄本が必要な理由

戸籍は、過去に何回かの大きな法改正によって全面的に戸籍の書き換えが行われています。この書き換えのとき、古い戸籍に記載されている情報の全てを新しい様式の戸籍に書き換えられるものではなく、書き換えがされた時点で既に結婚や死亡等の理由で「転籍」や「除籍」された者や「婚姻」や「離婚」、「養子」などの現在効力を有していない過去の情報などについて、新しい様式の戸籍には転記されません。

そこで、戸籍に記載された全ての情報を確認するには、法改正によって利用されなくなった古い「改製原戸籍」や在籍している者が誰もいなくなった「除籍謄本」なども含めて、被相続人が生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本が必要ということになります。

被相続人の出生から死亡するまでの連続した戸籍謄本

POINT
  • 相続人を特定するためには、被相続人の出生から死亡までの連続した期間の戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本が必要である。
  • 戸籍謄本は過去に数度の法改正によって全面的に書き換えが行われているため、全ての戸籍に記載された情報を確認するためには、複数の改製原戸籍や除籍謄本等を取得しなければなりません。

法定相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合の事案

たとえば、昭和10年に出生した被相続人には、配偶者はいますが、子はいません。父母は既に亡くなっていますが、姉は元気であるが、兄は先に亡くなっている。兄には長男がいます。

この場合、1.相続人である配偶者、姉、兄の長男の戸籍、2.被相続人に子がいないことを証明するための出生から死亡を証する戸籍、3.被相続人の兄弟姉妹が姉兄だけであることを証明するために被相続人の父母の出生から死亡を証する戸籍、4.相続人である兄の子が長男だけであることを証明するために兄の婚姻後から死亡するまでの戸籍が必要になります。

法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合

相続登記に必要な戸籍謄本
  1. 相続人の戸籍謄本
    a.配偶者の戸籍謄本(配偶者の戸籍は、被相続人と同一戸籍の場合は省略できます。)
    b.姉の戸籍謄本
    c.兄の長男の戸籍謄本
  2. 被相続人の出生から死亡を証する戸籍
    a.被相続人が除籍されたという記録が記載されている戸籍謄本
    b.被相続人の平成改製原戸籍(昭和23年式戸籍)
    c.被相続人の改製原戸籍(婚姻後の大正4年式戸籍)
    d.被相続人の除籍謄本(婚姻前の大正4年式戸籍)
  3. 被相続人の父母の出生から死亡を証する戸籍
    a.被相続人の父母の除籍謄本(昭和23年式戸籍)
    b.被相続人の父母の除籍謄本(2.dで兼ねることができるかもしれません。大正4年式戸籍)
    c.被相続人の父母の除籍謄本(婚姻後の明治31年式戸籍)
    d.被相続人の母の除籍謄本(婚姻前の明治31年式戸籍)
  4. 被相続人の兄の出生から死亡を証する戸籍
    a.被相続人の兄が除籍されたという記録が記載されている戸籍謄本
    b.被相続人の兄の平成改製原戸籍(昭和23年式戸籍)
    c.被相続人の兄の改製原戸籍(婚姻後の大正4年式戸籍)
    d.被相続人の兄の除籍謄本(②dで兼ねることができるかもしれません。婚姻前の大正4年式戸籍)

法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合の相続登記に必要な戸籍謄本の範囲

POINT
  • 子がいない被相続人が高齢で亡くなった場合には、相続人を特定するための戸籍は10通以上必要となることは少なくありません。

相続登記に必要な戸籍謄本の範囲

法定相続や遺産分割での相続登記を申請する場合には、相続人が誰なのかを特定する必要がありますので、事案によって用意する必要がある戸籍謄本の範囲が異なります。

必ず必要な戸籍

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡するまでの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本
関連情報

相続人が配偶者と子である場合

被相続人に子がいる場合には、子は必ず法定相続人になります。同様に配偶者がいる場合にも配偶者は必ず法定相続人になります。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 法定相続人である配偶者と子全員の戸籍謄本または戸籍抄本

相続人が配偶者と父母、祖父母などの直系尊属である場合

被相続人に配偶者がいる場合には、配偶者は必ず法定相続人になります。また配偶者に子または孫がいない場合には、被相続人の父母が法定相続人となります。被相続人の父母が双方とも被相続人よりも前に死亡しているが、祖父母が存命である場合には、祖父母が法定相続人となります。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 法定相続人である配偶者と父母または祖父母の全員の戸籍謄本または戸籍抄本

祖父母が法定相続人となる場合

  • 父母の除籍謄本(父母が被相続人より以前に死亡していることを確認するために必要です。)

相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合

被相続人の配偶者は必ず法定相続人になります。被相続人に子や孫がなく、父母などの直系尊属もいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になります。なお、子のいる兄弟姉妹が被相続人よりも前に亡くなっている場合には、その子(被相続人から見ると甥姪にあたる者)は代襲相続人として法定相続人となります。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 法定相続人である配偶者と兄弟姉妹(代襲相続人を含む)の全員の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 父および母の戸籍謄本(出生から死亡するまでの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)
  • 祖父母の除籍謄本(不要な場合もあります。)

甥や姪などの代襲相続人がいる場合

  • 死亡した兄弟姉妹の戸籍謄本(出生から死亡するまでの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)
POINT
  • 相続登記申請には被相続人の戸籍謄本(出生から死亡するまでの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)と相続人全員の戸籍謄本または抄本は必須となります。
  • 法定相続人が兄弟姉妹である場合には、相続人が当該兄弟姉妹であることを確認するために、被相続人の父母の出生から死亡するまでの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍も必要となります。

≫ 不動産の相続登記(名義変更)手続のよくある質問 TOPへ戻る

コンタクトフォームへのリンク

コメントを残す

*