不動産登記

相続登記は自分ですることができる

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相続登記は相続人本人が申請できる
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相続登記は相続人本人で申請することができるのか

簡単な事案であれば、相続登記は司法書士などの専門家に依頼しなくても、相続人本人で申請することはできます。ただし、平日の日中(市区町村役場や法務局の営業時間内)に、数度、管轄の役場や法務局に行く時間がある方に限られます。

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  1. 相続登記を相続人本人ですることができる場合
  2. 司法書士に依頼した方がよい場合
  3. 司法書士に依頼できること

相続登記を相続人本人ですることができる場合

住宅を購入した場合など売買を原因として、登記(名義変更)手続きをする場合には、売主と買主が協力して手続きをする必要があります。しかし相続を原因とする登記手続きは、第三者などの関与がなくして相続人だけで手続きをすることになりますので、簡単な事案であれば、相続登記を相続人本人で申請することは可能です。

どのような場合であれば可能なのか、次のチェックで確認できます。

被相続人が亡くなってから3年以内の手続きである

被相続人が死亡してから長期間、時間が経過している場合には、登記申請に必要な住民票の除票などの公的証明書が市区町村役場で破棄されていることがあります。また、相続人であった者が死亡したり、病気で寝たきりになったりして、簡単に遺産分割協議をすることが難しくなることもあります。

被相続人と相続人の関係が配偶者または親子関係である

相続人が近く親しい関係である場合には、遺産分割協議もスムーズにまとまります。しかし叔父叔母や甥姪などで親戚づきあいがあまりない者が相続人である場合には、遺産分割協議が難しくなったり、登記申請に必要な書類への署名押印をお願いしづらかったりすることもあります。また相続人本人で登記申請書や遺産分割協議書を作成する場合には、書類に不備があり再作成が必要になることはよくあります。その際に、再度作成を親戚にお願いするのも気が引けるということを理由で専門家に依頼する人も結構多いです。

被相続人は離婚や再婚、縁組などの経験がなく相続人の範囲がわかりやすい

相続手続きをするなかで、誰が相続人なのかということを知ることはとても重要です。相続人全員が参加していない遺産分割協議は無効ですし、法定相続分を把握するためにも相続人の範囲を理解しなければなりません。

もし被相続人が離婚・再婚、縁組などの経験がある場合には、相続人の範囲を間違えてしまうことも考えられます。たとえば、被相続人に離婚経験があるとき、婚姻時に子がいて、別れた妻が引き取り、その子は旧姓に戻った妻の名字を名乗り、離婚してから一度も会っていないような場合、その子は相続人なのかどうか。再婚した相手に連れ子がいて、被相続人の名字を名乗ることになったのだが、離婚してしまった場合の、再婚相手の子は相続人なのかどうか。など専門家と相談しながら進める必要がある事案といえます。

相続不動産が自宅の土地建物(マンションを含む)である

相続人本人が相続登記をするには、相続不動産を管轄する法務局での相談は欠かせません。そして法務局との相談は申請も含めて2~3度、足を運ぶ必要がありますので、なかなか遠方の法務局に行くのは大変です。よって遠方ある相続不動産についてご自分でするのはあきらめた方がよいでしょう。しかし自宅の不動産であれば管轄の法務局に行くのもそれほど苦ではありません。また、相続不動産が複数あり、管轄が異なる法務局に申請する必要がある場合にも、手間が2倍かかりますので、専門家に任せたほうがよろしいかと思います。

このように相続不動産が近所で、不動産の個数が少なければ相続人本人で相続登記することも難しくありません。

相続不動産に住宅ローンなどのための抵当権が設定されていない

被相続人が銀行等から住宅ローンや事業用ローンなどの借入れをしていた場合には、これら融資のための担保として、土地建物に抵当権や根抵当権が設定されている場合があります。もしその抵当権が自宅を購入するための住宅ローンの担保であるときは、多くの場合、住宅ローンに団体生命保険に強制加入される仕組みになっていて、被相続人が死亡したときには保険金で住宅ローンが返済されることになります。このような場合には、相続手続きを相続人本人が行っても問題はありません。

しかしアパートローンや事業用ローンの場合、もしくは住宅ローンなのだけれど団体生命保険に加入していなかった場合、銀行等からの融資が残ったままとなり、被相続人と銀行等が締結した抵当権設定契約も有効なままです。抵当権設定契約には、銀行の承諾なしには抵当不動産を譲渡できない定めがあります。これを無視して勝手に相続登記(名義変更)をすると契約違反であると指摘される場合があります。そこで、登記をする前に、誰が相続不動産を取得して貸金債務を誰が負担しどのように返済するのかなどを銀行等と協議をしておく必要があります。さらに協議の結果、相続登記と同時に抵当権の変更手続きをする必要なども発生しますので、このような場合には、相続人本人が相続手続きをすることはできません。

時間に余裕がある

多くの方が相続登記手続きを経験する機会は、一生のうち数度だと思います。なかなか法務局での手続きに慣れている方はほとんどいらっしゃらないでしょう。むしろ法務局に初めて足を運んだという方が大勢ではないでしょうか。

相続登記は、必要書類が整わないと申請が受付されませんので、そのための必要書類の準備が何かと手間と時間がかかります。戸籍謄本や住民票の写しなどの公的証明書を徴求するのにも時間がかかります。特に戸籍謄本の収集は大抵、数か所の市区町村役場に請求し問い合わせないと必要な戸籍が集められません。また遺言(公正証書遺言を除く)がある場合には、家庭裁判所に対して検認手続きを請求しなければなりません。

たとえ必要書類が全てそろったとしても、次は登記申請書を作成しなければなりません。確かに登記申請書のひな型は法務局のホームページに掲載されていますので、これを活用して申請書類を作成することができます。ただし、自分たちの相続がホームページのひな型と同じであるとは限りませんので、申請予定の法務局へ訪問して、相談窓口で申請書類の様式があっているのか、添付書類に誤りがないのかなどを確認してもらいます。おそらく多くの人は誤り等を指摘されることになるので、2度、3度修正しては、法務局に行って確認という動きをすることになると思われます。

登記申請書のひな型

しかも市区町村役場での必要書類の収集も法務局への相談も、平日の日中しか窓口は開いておりません。このように登記申請を相続人本人でしようとするならば、平日の日中であることが容易な時間に余裕がある方に限られるということになります。

<POINT>
  • 登記申請書のひな型は法務局のホームページに掲載されているので、簡単な事案で時間が許すのであれば、相続人本人で相続登記申請をすることができる。
  • 相続不動産が実家の土地建物で、共同相続人が親子または兄弟姉妹で親密な間柄であるような場合は、簡単な事案といえます。

司法書士に依頼した方がよい場合

先ほどのチェックポイントに当てはまらない方は、もちろんのこと司法書士は相続登記の専門家ですので、専門家ならではの安定感とスピード感、そして複雑な事案についての解決力で安心して任せていただくことができます。

特に次のような場合、司法書士に依頼することをお勧めします。

  • 相続開始時から5年以上経過している場合
  • 相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹もしくはその子である場合
  • 相続人のなかに10年以上会ったことがない人がいる場合
  • 共同相続人が多数いるときに遺産分割協議をする場合
  • 成年後見人や特別代理人の選任、相続放棄や遺言の検認など家庭裁判所への手続きが必要な場合
  • 相続不動産が複数あり、法務局の管轄が別々である場合
  • 被相続人が遺言を残していた場合
<POINT>
  • 相続手続きで煩わしい思いをしたくない方や長期間手続きを怠っていた方などは、専門家に依頼することが望ましいでしょう。
  • 複雑な相続をそのままにしておくと、子や孫の世代に遺産分割という困難を残すことになりますので、専門家の力を借りてでも早期解決を図ることを考えてください。

司法書士に依頼できること

司法書士は相続に関して以下のような業務を依頼することができます。

相続登記申請

  • 法務局への登記申請書の作成と申請
  • 戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍など)や住民票の写しなど必要書類の収集
  • 遺産分割協議書の作成
  • 遺産分割協議の相続人間の調整(争いのある場合には依頼できません。)
  • 家庭裁判所へ提出する書類の作成(相続放棄、特別代理人や不在者管理人の選任、遺言の検認など)

その他相続関係業務

  • 遺言書(自筆証書遺言及び公正証書遺言)の作成
  • 遺言執行
  • 銀行、証券口座の解約や保険金の請求等の遺産承継業務
  • 生前贈与や親子間売買の契約書作成と登記手続き
  • 家族(民事)信託の契約書作成と登記手続き
<POINT>
  • 司法書士は相続不動産の登記申請をするだけでなく、遺言の作成や生前贈与、家族信託などの生前の相続対策から遺言執行や遺産承継などの相続後に残された家族の生活をサポートする相続承継業務まで総合的に相続対策を行うことができます。

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