民法改正

民法(債権法)改正|保証

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
保証人保護の観点から新しい規律が拡充
Pocket

保証人保護の観点から新しい規律が拡充

1.連帯保証人について生じた事由の効力

ポイント

  • 債権者が連帯保証人に対してする履行の請求は、原則、主たる債務者にその効力は及ばなくなり、連帯保証人に請求しても、主債務の消滅時効は停止(完成の猶予)しません。
  • 但し、債権者と主債務者の合意がある場合には、その意思に従い絶対的効力が生じることになります。

保証人について生じた事由の効力

理由

  • 現行民法では、請求に絶対的効力を認めていたことから、履行の請求を受けていない主債務者にとって、自分の知らない間に履行遅滞や消滅時効が停止していたりするなど不利益が大きく問題となっていたので、原則としてその効力を相対的効力とする改正をしました。

実務への影響

  • 債権管理の観点からすると、債権者は保証契約等の合意をする際に、請求について絶対的効力が生じるように、合意をしておくことが必要かと思われます。

2.個人根保証契約

ポイント

  • 個人根保証契約(一定範囲の不特定債務について保証する契約で、個人が保証人となるもの)は、保証人が責任を負う最大額(極度額)を定め、かつ書面等で契約しなければ効力は生じません。
  • 個人根保証契約の根保証債務の元本は次の場合に確定します。
    • 債権者が保証人の財産に強制執行等をしたとき
    • 保証人が破産等をしたとき
    • 主債務者又は保証人が死亡したとき
  • 個人根保証契約には建物賃貸借契約における賃料債務等を担保するために個人がする保証契約も含まれます。
  • 求償する相手が個人であり、保証人が法人であるすべての根保証契約については、極度額の定めがなければ、効力が生じません。

個人根保証契約

保証契約の保証人の求償権についての根保証契約

個人根保証契約と貸金等根保証契約の違い

理由

  • 根保証契約の保証人の保護の観点から、平成16年改正により貸金等根保証契約に限定して新設された「極度額の設定」、「元本確定事由」、「求償権の個人保証」を貸金等根保証契約以外の個人の根保証契約に拡大するものです。
  • 元本確定期日の定めの採用については、建物賃貸借契約などの事案では不適当であると強い批判が寄せられたことから、現行民法と同じく貸金等根保証契約に限られ、その採用は見送られました。

3.事業のための貸金債務についての個人保証の制限

ポイント

  • 事業性のある貸金債務等を主たる債務とする個人 (根)保証契約をする場合、公正証書による履行の意思表示がなければ、その効力が生じません。
  • 事業性のある貸金債務等を保証する保証人が有する、主たる債務者に対する求償権を、個人が(根)保証する場合も公正証書による履行の意思表示が必要です。
  • 次の者が保証人になる場合は、公正証書による意思表示が不要な例外としています。

主債務者が法人のときは
  「取締役や理事等の経営者」
  「主債務者の株式の過半数以上を有しているなど、主債務者を支配しており、実質的に主たる債務者と同一であると評価することができる者。
主債務者が個人事業主であるときは
  「共同経営者」
  「事業に現に従事している配偶者」

理由

  • 主債務者の事業資金借入のために第三者(個人)が個人的情義等から安易に連帯保証契約を締結した結果、保証人の生活が破綻するなどの社会的問題が生じていました。そこで個人による保証契約の効力を制限する必要性の社会的に高まりを受けて改正することとなりました。
  • 保証契約のための手続を重くし、かつ公証人による意思確認を行うことで、安易・軽率な保証契約を防止する趣旨です。
  • 個人の保証人の保護の必要性と、特に中小企業の資金調達の必要性との調和を図るべく、経営者及び経営者と同一視できる者が保証人となる場合を除き、公正証書による保証意思の確認をすることを規定しました。

実務への影響

  • 実務界では、既に第三者保証を求めない方向で動いており、もしかしたら大きな影響は少ないかと考えられます。
  • 公正証書による意思の確認は保証契約締結の1ヶ月前からすることができるので、契約内容の概要(利率未定等)が定まっている段階でも作成できます。

4.情報提供義務の創設

ポイント

  • 主たる債務に事業性がある場合は、契約締結時の情報提供義務として、主債務者は委託を受けた保証人に対して財産やその他の借入れの状況や他の担保の提供の有無などについての情報を提供する必要があります。(契約締結時の情報提供義務)
  • 主たる債務者が前記義務を怠ったこと又は虚偽の説明を怠ったことを債権者が知っていたとき又は知ることができたときは、保証人は保証契約を取消すことができます。
  • 主たる債務の履行状況について、保証人から照会があった場合に、債権者は保証人に対し、主たる債務の元本や利息等に関する債務不履行の有無とその残額と履行期を経過している債務の額についての情報提供する義務があります。(保証人の請求による主たる債務の履行状況に関する情報提供義務)
  • 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合は、債権者は保証人に対して利益を喪失後2ヶ月以内に、その旨を通知しなかったときは、期限の利益を喪失したときから通知をするまでの遅延損害金を請求できません。(主たる債務者が期限の利益喪失した場合の情報提供義務)

保証人保護の方策の拡充の規律の対象

理由

  • 現行民法では、保証契約締結時の保証人に対する情報提供について、特別な規定が設けられていません。そこで今回改正では、情報提供の内容と説明義務を定めるとともに、説明義務違反又は虚偽の説明があったことについて債権者が悪意・有過失であるときには、保証契約を取消すことができるようにし、保証人の保護を図りました。
  • 現行民法では、保証人は、主債務者の債務の履行状況や債務不履行の有無などを、当然に知りえる立場にはありません。保証人が、長期間にわたり債務不履行後の事実を知ることなかったため、不測の損害が発生するおそれが生じていましたので、債権者による情報提供義務を定めました。
  • 現行民法では、主債務者が期限の利益を失った場合に、その事実を保証人が知るための方法が定められてなく、改正により保証人が期限の利益を喪失した事実を知る機会を確保しました。

実務への影響

  • 債権者は、トラブル防止の観点から、保証契約時に、主債務者から保証人に対する情報提供義務の履行又は虚偽の説明がなかったことを主債務者及び保証人に対して確認するための書面等を用意しておくことが必要と考えられます。

民法(債権法)改正の重要論点 TOPへ戻る

改正条文

(保証人の責任等)
第446条 (略)

2 (略)

3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

(保証人の負担と主たる債務の目的又は態様)
第448条 (略)

2 主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。

(主たる債務者について生じた事由の効力)
第457条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。

2 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。

3 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

(連帯保証人について生じた事由の効力)
第458条 第438条、第439条第1項、第440条及び第441条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。

(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
第458条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)
第458条の3 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない。

2 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。

3 前2項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。

(委託を受けた保証人の求償権)
第459条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。

2 (略)

(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)
第459条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

2 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

3 第1項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。

(委託を受けた保証人の事前の求償権)
第460条 (略)

1・2 (略)

3 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。

(主たる債務者が保証人に対して償還をする場合)
第461条 前条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。

2 (略)

(委託を受けない保証人の求償権)
第462条 第459条の2第1項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。

2 (略)

3 第459条の2第3項の規定は、前2項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。

(通知を怠った保証人の求償の制限等)
第463条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。

3 保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。

第二目 個人根保証契約

(個人根保証契約の保証人の責任等)
第465条の2 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

3 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。

(個人貸金等根保証契約の元本確定期日)
第465条の3 個人根保証契約であってその主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(以下「個人貸金等根保証契約」という。)において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。

2 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。

3 個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは、この限りでない。

4 第446条第2項及び第3項の規定は、個人貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。

(個人根保証契約の元本の確定事由)
第465条の4 次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
 一 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
 二 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
 三 (略)

2 前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
 一 債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
 二 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。

(保証人が法人である根保証契約の求償権)
第465条の5 保証人が法人である根保証契約において、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。

2 保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。

3 前2項の規定は、求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に求償権に係る債務が含まれる根保証契約の保証人が法人である場合には、適用しない。

第三目 事業に係る債務についての保証契約の特則

(公正証書の作成と保証の効力)
第465条の6 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

2 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
 一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
  イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。) 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。

  ロ 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第465条の4第1項各号若しくは第2項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。

 二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
 三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
 四 公証人が、その証書は前3号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

3 前2項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。

(保証に係る公正証書の方式の特則)
第465条の7 前条第1項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が口がきけない者である場合には、公証人の前で、同条第2項第一号イ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、同号の口授に代えなければならない。この場合における同項第二号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。

2 前条第1項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第2項第二号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により保証人になろうとする者に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。

3  公証人は、前2項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。

(公正証書の作成と求償権についての保証の効力)
第465条の8 第465条の6第1項及び第2項並びに前条の規定は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約について準用する。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。

2 前項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。

(公正証書の作成と保証の効力に関する規定の適用除外)
第465条の9 前3条の規定は、保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない。
 一 主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
 二 主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者
  イ 主たる債務者の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除く。以下この号において同じ。)の過半数を有する者
  ロ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
  ハ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社及び当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
  ニ 株式会社以外の法人が主たる債務者である場合におけるイ、ロ又はハに掲げる者に準ずる者
 三 主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号において同じ。)と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者

(契約締結時の情報の提供義務)
第465条の10 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
 一 財産及び収支の状況
 二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
 三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

2 主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。

3 前2項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。

民法(債権法)改正の重要論点 TOPへ戻る

Pocket

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  1. 見市訓宏 より:

    民法改正論点の明快な解説、ありがとうございます。

    さて、情報提供義務の創設のポイントについて、

    主たる債務者が前記義務を怠ったこと又は虚偽の説明を怠ったことを債権者が知っていたとき又は知ることができたときは、保証人は保証契約を取消すことができます。

    とありますが、【誤】虚偽の説明を怠ったこと→【正】虚偽の説明を行ったこと、ではないか?と思います。
    内容をご確認の上、修正ください。

コメントを残す

*